野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

それはオレのことだって、みんな知ってるんだ。

マディ・ウォーターズのアルバム"I'm Ready"は何がスゴいって、やっぱりあのマディ御大の顔がどアップになっているジャケットのアートワークだわな。

I'm Ready (Exp)

I'm Ready (Exp)

"I'm Your Hoochie Coochie Man"収録。というだけで値打ちがあると思う。何なんだろうなあの勢いは。というかほんともう勢いだけでやってる感じよな。
あの曲の最初の方の歌詞はこんな感じで。

Gypsy woman told my mother
Before I was born
You got a boy child's comin'
gonna be a son of a gun

あんたはこれから男の子を産むけど、
きっとロクデナシになるよ、
とオレが生まれる前にジプシー女が
母親に告げた。

"son of a gun"って何だ?と思っていたら、先日観た『ヘイトフルエイト』では「ロクデナシ」てな訳がついていた。
すげえなおい。

寄ってたかってやりたい放題

"Bitches Brew"ってエレクトリック・マイルスを代表する名盤、ということになっていて、「フュージョン」と呼ばれるジャンルを確立した、てなことになってるらしいけど、それを真に受けてこのアルバムを聴くと、1曲めからいきなり20分を超える大作で、なんだかすごいメンツらしいんだけどもとにかく好き放題やってるのをひたすら垂れ流してるだけにしか聞こえなくて仰天すると思うんだな。だいたいジャケットのデザインからして、やたらアクが強いというかおどろおどろしいというか。

Bitches Brew

Bitches Brew

曲順をもうちょっと考えて、"Spanish Key"とか"John McLaughlin"あたりの取っつきやすい曲から始めてくれたら、「何じゃこりゃあ!?」ていうのは減るはずなのだけど。
いやとにかく仰天させたろ、というのがプロデューサーのテオ・マセロの意図したところなのだとしたら大成功と言えますわな。
わたくしは先に"A Tribute to Jack Johnson"とか"Live Evil"を聴いているので、さほど抵抗はないけど、それでもしょっぱなから"Pharaoh's Dance"をカマされたら、ちょっと怯むのよな。
でもほんと"Spanish Key"なんかはカッコよくて。キーボードはおそらくチックコリアだと思うのだけど、時折ばしっと入るエレピの決めフレーズみたいなのが、いかにもチックコリア、て感じで、そりゃもう笑えるくらいに。
ちょっと慣れると、"Pharaoh's Dance"や"Bitches Brew"の怪しい混沌、なんだかよくわからないどろどろしたものが迫ってくるの、てのもまた、エエ感じなのよね。
というわけで、やはり名盤なのだと思います。

で、どの辺がどうデザインなのかね?

最近では会社のエラいさんなんかが、デザインシンキングだなんだ、などと言い出して、ああ、デザインシンキングね、うんそうなのよ、デザイン思考だから、なんて分かったような顔をして適当にごまかすのもちょっと難しくなってきた。しかたがない、ここらでちょっとそっち系の本でも読んどくか。というわけで『ビジネスのためのデザイン思考』。

ビジネスのためのデザイン思考

ビジネスのためのデザイン思考

 

読んでみたけど、それじゃデザイン思考って結局何なの?と正面切って問われると、うーん、やっぱりちょっと答えに詰まるかな。
エスノグラフィーとかナラティブベース・メディシンとかあれこれ説明されてるけど、そういうのはあくまでコンセプト作りのための手法に過ぎないし。どっちかというとそのベースにある発想、バリュー・プロポジションをひねり出すのに、フレームの中でロジックを積み上げるというよりある種の飛躍みたいなものを重視するような考え方、かな?何言ってんだか。
で、読んでると「場」がどうのこうのとか、知識創造とかアブダクションとか出てきて、これって野中郁次郎せんせのアレですか、と思ったらやっぱりこの著者って野中せんせとの共著もあったりするじゃないですか。アジャイルとかリーンとかそっち方面の話?とも思うけど、どうもそれだけでもなさそうで。
結局、読み終わっても何だかもやーっとしたまま。

ちなみにこの手の横書きでちょっと凝ったデザインの本は、Kindleで読むのには向いてない。元が割と大判の本なのだろう。Kindleだと小さくなり過ぎて、おっさんにはかなり厳しい。普通なら文字を拡大すれば良いのだが、この本の場合は単純にページが拡大されるだけで、文字サイズに合わせて1ページあたりの文字数を調整してくれたりはしないので、死ぬほど読みにくい。ま、タブレット等の大きめの端末でお読みください、て最初から警告されてるんですけどね…

God damn it!

WOWOWタランティーノ祭りやってたのはもう数ヶ月前のことだ。あの時に録画した『ヘイトフル・エイト』をやっと観た。何といっても長いからな。

おい『ジャンゴ』に続いてまた賞金稼ぎか、と思っているうちに、猛吹雪でワイオミングの山中にあるミニーの紳士服飾店(紳士服以外なら何でも売っている)に閉じ込められるワケありの8人(もっといたような気もするけど…)。いったい誰の言っていることがどれだけ本当のことなのかさっぱりわからないままに、例によってどんどん人が死んでいく、と実にタランティーノな映画なわけだが、まあほんと相変わらず無茶苦茶やっとるな。
それにしてもアレだ、タランティーノ映画といえばセリフの随所にf*ckとかfu*kingというワードが散りばめられているものと思っていたのだが(『パルプ・フィクション』では合計265回で歴代20位だとか)、本作ではまったく聞き取れなかった。その代わりにやたら出てきたのがgoddamnだ。これ、南北戦争直後という時代設定と何か関係あるんだろうか?『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズでも、1985年のchickenは1885年はyellowだったもんな。
さて次は『パルプ・フィクション』だな。

YEN TOWN BANDなかなかカッコええすね

HDDの残り容量が6時間ちょいしか無いじゃないかと、たまった映画を観ることにして、『スワロウテイル』を選んだ。

スワロウテイル [DVD]

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日本の映画だけど、舞台は中国だったかな、ぐらいに思っていたがそうではなくて、おそらく日本の中にある架空の都市で、日本円を稼ごうとする移民が住む円都(Yen-Town)の話だった。日本円が最も強かった時代、ていつの話やねんと思うが、つまり過去なのか未来なのかその辺も判然としないという設定がまた、この映画に独特の雰囲気を与えているのだろう。
うっかり殺してしまったヤクザの腹にカセットテープが入っていて、録音されているのは『マイ・ウェイ』かと思ったら実は一万円札を偽造するための磁気データが隠されていた。それを奪い取って千円札を一万円札に偽造して大儲けし、ライブハウスを作って… というなんだか無茶苦茶な話だ。
キャストがまたやけに豪華なのだけど、とりあえず三上博史が英語と中国語をやたら流暢に話すのにちょっと驚いた。主役のCharaの存在感もなかなかのもので、彼女もまた上手に(というかそれっぽく)中国語を喋る。アジア人たちが中国語・英語・日本語チャンポンで会話する一方で、どこからどう見てもアメリカ人、という連中が思い切りナチュラルな日本語を喋る、なんていう様子を見ていると、なんだか頭が混乱してくる。
1996年制作か。20年前の作品とは思えないな。いや何とも、不思議な映画だった。面白かったけど。

どうにも正体不明な連中ですな

鳥取を出たのが10時ごろ、高速に乗って宝塚あたりの渋滞はいったいどんな様子なのか、と心配するが神戸北出口が渋滞中、というばかりで他の情報が入ってこない。よほどひどいことが起こっているのだろうかと不安に思いつつも、すんなりと宝塚を通過して茨木まで戻って来た。なんと、宝塚で渋滞しないなんて、そんなことがあるものだろうか。ちょっとにわかには信じられない話である。
と安心して昼寝をしてしまったら、起きたのはもう夕方。やれやれ。

ところで先日Amazon.comのDigital Musicストアでまとめ買いをしたなかに入っていたひとつは、セールで5ドルになっていたダフト・パンクの"Tron: Legacy"だ。

O.S.T. (Daft Punk) - Tron: Legacy

O.S.T. (Daft Punk) - Tron: Legacy

つまり、あの映画のサントラ。ダフト・パンクを初めて聴いたのはたぶんあの映画を観た時だと思う。正直なところ映画そのもののはちょっと微妙だったが、音楽はなかなかカッコよかったと記憶していたのだ。でそのイメージで"Random Access Memories"あたりを聴くとかなりファンクでびっくりするわけだが、今回は映画で聴いたそのままだから。
のはずなのだけど、記憶にあるゴリゴリのテクノとはまたちょっと違うような気も… 結構オーケストラ入ってたりするのね。いやこれはこれでなかなか面白いのだけど。それこそみんな同じ曲に聞こえる。ま、それも別に悪いことじゃない。

10代目JSB、カッコええやんけ

グラスホッパー』の映画版で、実在しないはずの伝説のロックスター、ジャック・クリスピンの曲をやっていたのは、実はThe Jon Spencer Blues Explosionsである。ということだったので、いずれちゃんと聴いてみなければな、と思っていたのだ。
で先日Amazon.comのDigital Music Storeでテデスキ・トラックス・バンドをダウンロード購入した時に"Freedom Tower - No Wave Dance Party 2015"もポチっと。

Freedom Tower: No Wave Dance Party 2015

Freedom Tower: No Wave Dance Party 2015

 

実際のところ、どのアルバムが良いのか知らなかったのだが、値段が安めで、かつちょっと視聴してみた中で良さげだったものを選んだのだった。
いやしかしこれ、なかなかスゴい。シンプルでめっちゃソリッドな音。そしてノイジーでローファイでワイルド。好みですわー。どの曲もだいたい同じに聞こえる、っていうあたりも、アルバム全部で35分っていう短さも良い。気に入った。