野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

読書

手短に言うとこうなる

トマ・ピケティの最新作『資本とイデオロギー』の邦訳がついに出るらしい。 前作の『21世紀の資本』は2年前のゴールデンウィークに読んだ。新型コロナによる行動制限でほとんど家に居て暇だったので、ああいう「ずっと気にはなっているがおいそれとは手を出…

いろいろ迷惑な話でっせ

ロシアのウクライナ侵攻とか、中国の権威主義的資本主義とか。 あるいは新型コロナとベーシックインカム。日本国憲法。 一体、何が起こっているのか。いったいどんな理屈でそんなことになるのか。 『この世界の問い方』はそんな話だ。この世界の問い方 普遍…

食うもんは大事ってな

『ランチ酒』は面白い小説だった。 同じ作者の『まずはこれ食べて』というのを新聞の広告で見た。これもいっとかなあかんな、ということで。まずはこれ食べて作者:原田ひ香双葉社Amazon大学の同級生で作ったベンチャーが、商売はわりと上手いこと行って、で…

体質だからしょうがないよね

“ものを集めるということにそれほど興味があるわけではない”なんて書いているけど、村上さん明らかにコレクター体質でしょう。 その結果として“いろんなものがついつい「集まってしまう」”ということについての自覚はあるようだけど。 いくつかのエッセイを…

斉藤君とはなちゃんの間

最近の北大路ケメ子先生は、飼い猫を文字通り猫可愛がりしている様をTwitterで垂れ流していらっしゃるのだが、5〜6年ほど前までは「猫さえいればなあ」と猫の不在についてたびたび嘆いておられた。 そんなに猫飼いたかったら飼うたらええやんけ、とわたくし…

みなさん苦労なさってます

『なぜ人と組織は変われないのか』なんてまた、ちょっと手を出すのに躊躇するような「いかにも」なタイトルだ。なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践作者:ロバート・キーガン,リサ・ラスコウ・レイヒー英治出版Amazon成人の知…

シュナップス飲み過ぎやで

『もっとも危険なゲーム』を読みたい、と思ったのだが、すでに絶版になっており、Kindle版も無い。 仕方がないので古本を探して購入した。読めない、となったら無性に読みたくなるのが人情ってもんだ。もっとも危険なゲーム (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18-…

下品で粗雑だが重要だ

タイトルは『パンデミック以後』だが、この本が出たのは2021年、つまり新型コロナウイルスのパンデミック始まって一年ちょい、といったところだ。その頃にエマニュエル・トッドはいったい何を言っていたのか、というのを今、つまり2023年に改めて読んでみる…

動的平衡 vs async

坂本教授が90年代からニューヨーク在住なのは知っていたが、福岡ハカセもニューヨークで活動されているとは知らなかった。 で、このお二人が数ヶ月に一度会って食事などされていたらしく、それが対談としてまとめられて本になったと。音楽と生命 (新書企画室…

熊野ってちょっと面白いかも

大石誠之助?誰それ?内蔵助じゃなくて? と、まず思ってしまったのだが、実在した人物なのだそうで。 Wikipediaで調べると、社会主義者であり、医師である、と書かれている。 幸徳事件で処刑された12人のうちの1人である、とも。 幸徳秋水、聞いたことある…

実は駅弁ってあんまり好きじゃないけど

なぜか実家に原田宗典のエッセイ『こんなものを買った』があった。 誰が買ったのだろう?父は本を読む習慣はなかったと思うし、母が買いそうな本ではない。 可能性があるのはわたくし自身であるが、まったく記憶にないし、たぶんよほどのことがない限り単行…

アソシエーションとかコモンとか

『人新生の資本論』を読むと、『ゼロからの資本論』も勧められる。 うむ、まあしゃあないな。ゼロからの『資本論』 (NHK出版新書)作者:斎藤 幸平NHK出版Amazon『資本論』っていろんな読み方ができるんだな、と思う。 なぜ我々はこんなに生きづらいのか、…

一日働いて二千円、てのもあった

「金持ち」とは何か。金について考えないことである。 というのを、昔どこかで聞いたか読んだかしたことがある。なるほど、と思った。 『三千円の使い方』を読んで、この話を思い出した。三千円の使いかた (中公文庫)作者:原田ひ香中央公論新社Amazon上記の…

サケ飲むな!

『しらふで生きる』って確か、だいぶ前に朝日新聞の書評欄で見つけたんだったか。しらふで生きる 大酒飲みの決断 (幻冬舎文庫)作者:町田康幻冬舎Amazonだいたいが酒飲みというのは、何だかんだと理屈を付けては酒を飲もうとするものだ。 この著者は、ある日…

みなさん苦労なさってるんですね

なんで『「静かな人」の戦略書』などという本を読もうと思ったのか、今となっては思い出せないけども、たぶんKindleに勧められたのだと思う。どうも、そこそこ酔っ払っている時に買ったような気がする。最近たまにこういう事があるので、気を付けねば、と思…

御中、宛名の上に書き足してくれ

新聞広告で『僕は珈琲』というエッセイを見つけた。 片岡義男?なんだか懐かしいじゃないか。大瀧詠一、刑事コロンボ、ジャック・ニコルソン、ドトールのミラノサンド、とあれこれ気になるキーワードが散りばめられているので、紙の本を買い求めることにした…

そりゃ発狂もするでしょうし

常日頃からAmazonは便利に使い倒しているし、米国駐在中や出張中はUberにさんざん世話になった。 とてつもなく安くで様々な利便性を我々に提供してくれているこれらの企業のサービスというのは、裏ではなかなかに非人道的なことが行われているものと相場が決…

それにしてもどうしてチバなのか

ウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』ってのは高橋ユキヒロの『ニウロマンティック』("NEUROMANTIC")にインスパイアされて付けたタイトルなんだぜ、てな話を聞いて、へーそうでっかと思っていた。 で最近あらためて『ニウロマンティック』を聴き倒し…

モラルを守るのは大事ですよ

待ちに待った『一人称単数』がついに文庫化された。 ってのは嘘だな。特に待ってなかった。というか単行本が出たのをすっかり忘れていた。一人称単数 (文春文庫)作者:村上春樹文藝春秋Amazon忘れていたけど、やっぱり文庫になったら迷わず買って読むよね。ま…

いわゆる狼少年ってやつでね。

WHOによる終息宣言はまだ先だろうけど、欧米諸国ではもうCOVID-19は過去のものになりつつあるように見える。 けどパンデミックの初期の頃のアメリカなんて、そりゃもうひどいことになっていた。 感染症の研究がもっとも進んでいるはずのアメリカでなぜそんな…

ルイスと愉快な仲間たちの珍道中

Twitterで、ギャビン・ライアルの『最も危険なゲーム』についてのツイートを見かけた。歯医者の行き帰りはギャビン・ライアルの『最も危険なゲーム』。コロナのせいで年末年始の楽しいイベントがあらかた飛んでしまったので暮れに「じゃあ、冒険小説でも読む…

Bay Booksは何だか楽しそうな書店だな

新聞にジョン・グリシャムの新作(正確には新作ではなく文庫になっただけということだが)の広告が載っていた。 うわー久しぶりだなグリシャム。何?村上春樹訳、だと… しかもタイトルは『「グレート・ギャツビー」を追え』と。「グレート・ギャツビー」を追…

良いニュースと悪いニュースが

あの『スマホ脳』(読んだことないけど)で有名なアンデシュ・ハンセンが『運動脳』なんていう本を出している。運動脳作者:アンデシュ・ハンセンAmazon何でも脳って付けたらエエっちゅうもんとちゃうんやで、と思いつつも、ちょっと面白そうなので読んでみた…

まさにイタチごっこであると

わたくしが日本語を使い始めてから、かれこれ50年以上経つ。しかし、言い間違ったり空耳したり誤解したりさせたり、てなことが起こらない日はない。 日本語って難しい。 いや、日本語に限らないだろう。およそ人間の使う言葉というのは、何語であれ難しいも…

あれは2ヶ月かかったし

過去に何度かフーコーの本を読もうとしたことがある。 『知への意志』は2回読んだ。『言葉と物』も数ヶ月かけて読んだ。 どれもまったく理解できなかった。 フーコーの解説本は何冊か読んでいて、それぞれを読めば、へーそんなもんなのかと思うのだが実際に…

折り畳まれた11次元とかね

先日読んだ『偶然の聖地』には、尋常ではない量の注釈が付いている。そのうちのひとつ、「そういうものだ」というフレーズに関する注釈において、カート・ヴォネガットの『スローターハウス5』について触れられていた。 なんでも、『スローターハウス5』にお…

今じゃ公務員でも副業できるんだぜ

妻がテレビで『御家人斬九郎』を観ていた。最近 BSフジで再放送をしているらしい。 なんでまた今ごろ斬九郎やねん、と呆れながらつい一緒に観てしまった。けっこう面白かった。 そういえばずいぶん昔に原作を読んだような… と思いつつ、年末に本棚の整理をし…

そんなんSiriには無理でっせ

バカの一つ覚えみたいに、昔読んだのに内容を忘れたとか映画を観たけど覚えてないとかそんなことばっかり言っている気がするのだが、『マスカレード・ナイト』もまた今年の夏に映画を観たのだが、改めて原作を読んでみて、肝心なところをさっぱり覚えていな…

気候変動はバグですね

秋の後に短い春が訪れることがあり、「旅春」と呼ばれている。などと『偶然の聖地』に書いてあって、へえー知らんかったな。出典は『史記』とか『春秋』とかその辺かな、などと思ってググってみても、出てくるのは「春におすすめの旅行先12選」とかそんなん…

またまたブルシット・ジョブ

どうしてこんなにブルシット・ジョブが気になるのだろう、と思いつつ今度は『ブルシット・ジョブと現代思想』を読んでみた。だって大澤真幸せんせが書いてるんだもの。ブルシット・ジョブと現代思想 (THINKING「O」)作者:大澤真幸,千葉雅也左右社*Amazonまず…