野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

読書

20世紀最大の問題作ですから

いずれ読んでみなければ、と長年思っていたけども文庫にもKindleにもなる気配がなかった『薔薇の名前』。 ついに見切りをつけてぶっとい単行本を買ったのが今年の3月のこと。その後しばらく寝かせて、ようやく手を着けたのが6月ぐらいだったか。薔薇の名前〈…

また民郎が出てきたぞ

なんでこんな本に手を出したのだろう?と少し不思議に思うが、つまりこれもまたKindleに勧められてついうっかり、というやつだ。 どちらかというと、なぜKindleはこんな本を勧めてきたのだろう?という方が問いとしては適切な気がする。 基本的にはわたくし…

青椒肉絲って美味いと思うけどな

ものすごく久しぶりに『ねじまき鳥クロニクル』を読んだ。以前に読んだのは、単行本が出て割とすぐだったから、1990年代の初頭、つまり30年ほど前ということになる。ねじまき鳥クロニクル―第1部 泥棒かささぎ編―(新潮文庫)作者:村上春樹新潮社Amazonねじ…

ワルオってもう61歳らしいぜ

Kindleのおすすめにやたらこの手の本が出てくる。やたらこの手の本を読んでしまうから当然なのだけど。 『悪い言語哲学入門』というタイトルがそもそも、悪い言語についての言語哲学の入門書なのか、それとも言語哲学の出来の悪い入門書なのか、あるいは良い…

悩める尼御台

大河ドラマの『鎌倉殿の13人』もいよいよ、という感じになってきて、以前に読んだ『炎環』も一部を読み返したりしていたのだが、やはりここはひとつ『北条政子』の方もいっとかなあかんかな、と思ってついに手を出した。北条政子 (文春文庫)作者:永井 路子文…

スミス聴いたことないんだよな

新聞で『オンガクハ、セイジデアル』の広告を見かけた。おっ、と思って、自転車で隆祥館書店へ行った時に買ってきた。オンガクハ、セイジデアル ――MUSIC IS POLITICS (ちくま文庫)作者:ブレイディ みかこ筑摩書房Amazon2013年に刊行された『…

そんな無茶したらあきまへんで

戦国時代の文献に出てくる食べ物を再現して実際に食べてみるとかアホなことを、いや失礼、面白そうなことをやっていたのが『戦国、まずい飯!』という本だ。その著者が今度は、歴史に残る数々の戦いで、行軍したであろうルートを実際に走ってみる、てなこと…

統計学はキメラ怪獣だそうです

確かTwitterあたりで見かけて、なんだか面白そうだな、でも結構な値段だしどうするかな、と少しばかり迷ったけれども結局買ってしまった『統計学を革命する:資本主義を支えるAIとアルゴリズム』。統計学を革命する:資本主義を支えるAIとアルゴリズム作者…

あんた何でも飲むんやな

『ランチ酒』という何とも魅力的なタイトルに惹かれ、思わず手に取ってしまった。ランチ酒作者:原田ひ香祥伝社Amazon何の仕事かは詳しく説明されないが、とにかく夜勤明けの犬森祥子が、肉丼で芋焼酎のロックを飲むところから話は始まる。 なるほど、ランチ…

山岸・新田ライジング

映画の『マスカレード・ホテル』と『マスカレード・ナイト』を観て、これは原作も行っとかな、と『マスカレード・ホテル』を読んだ。面白かった。 次は『マスカレード・ナイト』かと思うと、原作の「マスカレード」シリーズは、『マスカレード・ナイト』の前…

最後の聖戦?

「海戦三部作」の三作目、『レパントの海戦』についに辿り着いた。レパントの海戦(新潮文庫)作者:塩野 七生新潮社Amazonコンスタンティノープルの陥落以降、100年以上に渡ってオスマン帝国にやられっぱなしだった西欧世界の連合軍が、ついにやり返した、と…

そういえばルワンダの話とか

映画の『ブレット・トレイン』を観る前に原作の『マリアビートル』を読み直しておこう、と思ったのだが間に合わなかった。 まあそれはそれでもよかろう。 なので原作の内容に関する記憶は朧げなのだが、それでも映画を観た時に「絶対こんな話とちゃうわ」と…

ムクゲもキキョウもみんなアサガオってそんな

映画の『グラスホッパー』を観直したので、あらためて原作も読み直した。グラスホッパー (角川文庫)作者:伊坂 幸太郎KADOKAWAAmazon映画を観たばかりなので、そこそこストーリーは覚えていたのだが、原作はまただいぶ違う話だ。 とりあえず、殺し屋の「蝉」…

今でもそんなに変わらんかもね

『日本のいちばん長い日』はドラマとか映画とかになっていたはず。でも観たことはない。 漫画もあるらしい。原作はノンフィクションで、第二次世界大戦における日本の敗戦についての話、というのはなんとなく知っているが、ちゃんと読んだことはなかった。 …

まずいばかりでもなさそうですよ

探偵ナイトスクープに、パティシエの林先生に妙な食材であれこれ料理を作らせる、という依頼が時々あった。 服部緑地の池で採れたドブ貝を食べられるようにしてくれ(たぶんあれがこのシリーズの始まりだ)、とかママレンジ(おもちゃのレンジだ)でホットケ…

タバコのポイ捨てはあきまへんで

『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞受賞とかカンヌでパルム・ドールなどと話題になり、いよいよWOWOWでもオンエアされ、とりあえず録画はしておいた。まだ観てないけど、その前に改めて原作を読んでおこう。 原作は言わずと知れた村上春樹の『女のいな…

あれから70年

朝日新聞のGLOBE+に「小国に生きる」という特集記事が載っていた。そこに取り上げられている「国」のひとつがマルタ騎士団、正確には「エルサレム、ロードス及びマルタにおける聖ヨハネ主権軍事病院騎士修道会」という冗談か嫌がらせみたいに長い名前だ。 あ…

まずはホテルから

WOWOWで『マスカレード・ホテル』と『マスカレード・ナイト』をやっていたので立て続けに観た。 ナイトは初めてだが、ホテルは以前にも観たことがある。しかし内容はほとんど覚えてなかった(よくある事だ)。 で改めて今回観て、けっこう面白いなと思いつつ…

知らん店ばっかりですけどね

浜松では、飲み会の最初にみんなで乾杯するときに、その場の最年長者が「やらまいか!」と言い、続いて他のメンバーが「おいしょぉ!」と唱和する、という風習があるらしい。わたくしも実際その場に出会したことがある。というかその「やらまいか!」コール…

数Iは鬼門でありました

大学生の時に、量子化学の授業でベンゼンの電子状態エネルギーを分子軌道法で求める、という演習があった。 ところがこいつが解けない。確か、6元の連立方程式を解く必要があって、式は6個あるのだけども、よく見るといくつかの式は同じものになっている。だ…

三味線もヤバいわな

お、『営繕かるかや怪異譚』の続編が出ていたのだな。文庫になるまで気付かなかった。 ということで早速買い求めて。営繕かるかや怪異譚 その弐 (角川文庫)作者:小野 不由美KADOKAWAAmazon不思議な短編集だ。主役のはずの尾端の出番は少ない。最初の「芙蓉忌…

たまにはうどんもいかがですか

BSEによって米国産牛肉の輸入が禁止された時、それまでオールアメリカンビーフで牛丼を作っていた吉野家は、メニューから牛丼を消した。米国産牛肉が無ければ、オーストラリア産の牛肉でも牛丼は作れる。実際、他の牛丼屋はオージービーフに切り替えて牛丼を…

ハバナあたりの昔の話さ

ヘミングウェイにかぶれてフローズン・ダイキリに酔いしれてたのは、亜麻色の髪のサラって女だけど、そういえばヘミングウェイって読んだことあったかな? そう思って蔵書を漁ったら『武器よさらば』の大久保康雄訳による新潮文庫が出てきた。 しかしまった…

そんなに昔じゃないはずなのに

ちょうど初の小説作品『東京四次元紀行』が出たばかりなのだけど、あえてちょっと古い『ポエムに万歳!』など。ポエムに万歳!(新潮文庫)作者:小田嶋隆新潮社Amazon時期としてはだいたい2012〜2013年ごろか。東日本大地震と原発事故の後で、あれこれゴタゴ…

ちゃんとオトシマエつけろやポール

割とあちこちで「資本主義はもう終わりだ」てなことが言われる一方で、いやいやまだイケるぜ、という人々も結構いる。 どっちが本当やねん、と思ったりもするのだが、この『未完の資本主義』は、まだイケるぜ派の学者たちのインタビューだ。未完の資本主義 …

コオロギはノーサンキュー

ジャック・アタリの名前は知っているが著作はまったく読んだことがなかった。 それで最初に読むのが『食の歴史』、というのが適切なのかどうかわからんが、とにかく。食の歴史――人類はこれまで何を食べてきたのか作者:ジャック・アタリプレジデント社Amazon…

本当に二つで十分ですか?

いずれは読んでみないとな、と思っているSFの古典がいくつかある。 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』はその一つだ。アンドロイドは電気羊の夢を見るか?作者:フィリップ・K・ディック,浅倉 久志早川書房Amazon映画『ブレードランナー』の原作として…

それでも飲むけどね

酒は百薬の長、てなことを言う。酒の飲み過ぎは身体に悪いが、適量であれば健康になれるのだ、と。 そんなのは嘘だ。 『名医が教える飲酒の科学』に書かれているのは、端的に言えばそういうことだ。名医が教える飲酒の科学 一生健康で飲むための必修講義作者…

料理教室もあるでよ

大阪梅田から「山手を走る電車」に乗り、駅からバスに乗って二つめのバス停で下車したあたりにある洋菓子店。 店の名前は「スイート・ホーム」。その家族についての物語が、そのまま店名をタイトルにした連作短編集になっている。スイート・ホーム (ポプラ文…

もちろんT嬢も登場

先日読んだ『言語学バーリ・トゥード』の何がすごいって、それ自身の面白さもさることながら、派生して関連書籍にいくつか手を出してしまったことだな。 そのうちの一冊が『三日月とクロワッサン』。 『言語学バーリ・トゥード』に何度となく登場するSTO先生…