野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

「橋本一子のアンチエイジング」という本が出るそうです(←嘘です)

今週は、ローソンジャズウィーク2010。「街がジャズに染まる一週間」なのだそうだ。そらえらいこっちゃで。まあ森ノ宮界隈だけの話なのだけど。
そして本日は、菊地成孔ダブ・セクステット。2ヶ月前から楽しみにしていて、今週に入ってからは5日前から酒を抜き、斎戒沐浴して万全の体勢にて臨んだわけですよ。いやまあ嘘ですけどね。
前座、じゃないな対バンというべきか、はquasimode。誰やねんお前ら(失礼)と、あまり期待もせずにいたのだが、意外とよかったのだなこれが。
quasimodeが小一時間ほどもやった後、いったん休憩で19時半ごろからいよいよ本命の菊地成孔ダブ・セクステットの登場だ。
いや正確には、「菊地成孔ダブ・セクステット feat. 橋本一子」だ。ダブ・セクステットのピアニスト坪口さんの都合がどうしてもつかず、本来ならばメンバが揃わないときはライブをしない、ということらしいのだが今回は特別にピアニストを他から調達してきた。それが橋本一子さん。なんと、菊地さんが音楽学校に通っていたときの先生らしい。だから、菊地さん今でも「橋本先生」の前では「直立不動」なのだ(←本人談。どこまで本当なのか、よくわからない)。自分の先生と共演なんて、菊地さんやりにくくって仕方がないらしいのだが、最後のMCのとき「こんなことまず無いから貴重ですよ。今夜は皆さん運が良い」みたいなことを言っていた。「コルトレーンのバンドでエルヴィンがパクられたので、急遽かわりにロイ・ヘインズと共演したら、これが意外と評判がよかったようなもんで」という喩えは、ちょっとマニアックすぎてもうひとつよくわかりません、菊地さん。
正味1時間半強ぐらいの間に演奏されたのは、"Dub Liz"、"Susan Sontag"、"(I've Lost My) Taylor Burton" 他数曲、アンコールの"Monkey Mush Down" も入れて6、7曲といったところかと思う。とにかく一曲が長い。前夜に夜更かしをして睡眠不足のせいで、ついうとうととしてしまった。全然退屈なわけじゃないのに。
んで橋本一子さんがすげえ。あのほっそい体で、プレイは超パワフル。肘打ちあり。かなーりフィーチャされてたと思いますわよ。そして、菊地さん。演奏中に、メンバの誰かをばしっと指差す。そして、腕をぐるっとまわすと、その指差した相手の担当パートの音にダブのエフェクトがかかってびよーんと伸びていく。そしてブレイク。一瞬の空白の後、全パートが頭をそろえて一気に走り出す。この様子が、もうオシッコちびりそうなくらいにカッコええ。エネルギーを野放図にぶちまけるんじゃなく抑制された感じでクールに刻みだす。会場も先週DCPRGとしてやった京都KBSホールのダンスフロアのような感じではなく、普通のホールであるからオーディエンスは座席に押し込められている。この緊縛により、マゾヒスティックなテイストを含んだ独特のグルーヴが発生する。
いやーまあそんな感じで、結構でございましたなあ。