野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

エヴァ・カチャドリアンからの手紙

映画で観て衝撃を受けた「少年は残酷な弓を射る」、どうやら原作もあるようなのでこれはぜひ読んでみなければ、と思っていたのだが、やっとのことで着手できた。

少年は残酷な弓を射る 上

少年は残酷な弓を射る 上


映画ではもひとつピンと来なかった登場人物のキャラクターなんかが、原作だとじっくり書き込まれているのでとてもよくわかる。エヴァが息子ケヴィンを産むに至るまでの経緯と葛藤も。そして夫のフランクリンの独善も、ケヴィンがエヴァに対して向ける悪意も、より純度が高く、密度が濃くなった感じで、読んでいて息がつまり気が滅入ってくるほどだ。
一方で映画の方もうまく作られているなと改めて感心する。原作にあるピースを取り出してふくらませるようなかたちで。映画のほうの感想にも書いたが、スーパーで(嫌がらせにより)割られた卵で作る殻だらけのオムレツとか、原作には無いトマト祭りの馬鹿騒ぎとか。
下巻ではケヴィンの妹も産まれ、物語はいよいよ緊迫感を増して行くんである。