堤美香というひとのことを、わたくしはほとんど知らなかったが、時折Twitterで彼女のつぶやきがリツイートされて流れてくるのは、なんとなく読んでいた。
先ごろ、彼女の「(株)貧困大国アメリカ」という本が出たようだ。書店で見かけてちょっと気になって、でもよく見ると、いやいやその前にシリーズ一作目の「ルポ 貧困大国アメリカ」をまず読むべきじゃないか。
- 作者: 堤未果
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2008/01/22
- メディア: 新書
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アメリカでは富裕層と貧困層の格差が広がっている。うん、そうですね、よく言われることだ。でもそれってどういうことか、というのを、ひとつづつ具体的な事例をあげながら見せつけられると、これはもう。まことに壮絶である、実に悲惨だ。という、陳腐極まりない言葉より他に、これを表現するやり方を思いつけない。
世の中は「仕組み」を作ったやつの勝ちだ、なんてことをよく言う。そして、アメリカ人ってのは「仕組み」を作るのがうまいなんてことも言われる。これはたぶんその通りだろう。日本で少し前から言われている「貧困ビジネス」の、実に見事なショーケースだ。何と言っても規模が違う。こっちは国家のスケールでやってるからな。まったく、何でも商売になるのだなと感心する。
医療とか教育とか、そういった種類のものには市場原理を持ち込んではイカンのですね。ある種の人たちはずっとそう主張しているわけだが、なるほどそうだよな、と改めて実感したわけですよ。