「グレート・ギャツビー」の訳者あとがきに、村上春樹はこう書いていた
もし「これまでの人生で巡り会ったもっとも重要な本を三冊あげろ」と言われたら、考えるまでもなく答えは決まっている。この『グレート・ギャツビー』と、ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』と、レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』である。
ギャツビーはまあわかる。でも『ロング・グッドバイ』はちょっと意外だった。
それが今回、「長いお別れ」を読んでみて、なるほどそういうことか、と思った次第。
- 作者: レイモンド・チャンドラー,清水俊二
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1976/04
- メディア: 文庫
- 購入: 10人 クリック: 86回
- この商品を含むブログ (219件) を見る
これはあれだ、まんま村上春樹だ。「ハードボイルド・ワンダーランド」だ。拳銃を持ち歩いたり、わざわざ警官やチンピラに喧嘩を売ったり、ギムレットを飲んだりはしないけど、「ねじまき鳥」のオカダも、「ノルウェイの森」のワタナベも、そしてカフカもみんな、口のきき方、価値観、行動パターンは、タフな私立探偵フィリップ・マーロウ君と同じじゃないか、と思ってしまうのだ。もっともマーロウは「やれやれ」と言ったり、ジョギングをしたり、オペラを聴きながらスパゲティを茹でたりはしないけど。
それにしても、昔「さらば愛しき女よ」は読んだことがあるが、例によってまったく中身を憶えていない。当時から村上春樹は好きでよく読んでたけど、「これって計算士やないか!」と思った覚えは無い。訳者は同じだから、そんなに雰囲気がかわるとは思えないのだけど、どういうことだろう。
まあそれはそれとして、近いうちに村上訳バージョンが出るらしい。また読み比べてみたいですな。