野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

久々に現代文

「ヴィジョンは「世界」をつれて」っちゅう本を読んでみた。哲学的エッセイなんだって。


ま確かにそんな感じするな。著者の言わんとすることは、何となくわかるような気もするが… やっぱり難しいなあ。でも、この本にでてくる、著者と対話した何人かの人たちの話は、面白い。特に、豊中で野菜を作る松本さん。
つい数年前まで薪で風呂を沸かしていて、それはもちろん色々と不便で手間がかかって大変だった。これがガス風呂に変わったらどんなに便利になるだろう、どれだけ自由な時間が生まれて、どれほどいろんなことができるようになるだろう、と期待していた。ところが実際にガス風呂に変わったら、確かに便利にはなったのだけど、ではそれによって生まれた時間で、期待していたようなことをやって生活が充実したかというと、結局はただだらだらと過ごしているだけだった。代わりに色んなものを失っている。こうやって人間はだめになっていく… あまり正確ではないがたとえばそんな話がでてくる。これなんか、すごくよくわかるような(そして何となく後ろめたい)気がするなあ。
そんなにボリュームは無いので、あっさり2日ほどで読んでしまった。だけど本当はもっとじっくり味わうべきなんじゃないかと思った本だった。