野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

哲人とアホぼん

本日、「ローマ人の物語」シリーズ「終わりの始まり」の中巻を読み終わった。五賢帝時代の最後の皇帝、マルクス・アウレリウスが死んで、後を継いだ息子のコモドゥスがけっこうスカタンで、結局は暗殺されてしまう、というところまで。

ローマ人の物語〈30〉終わりの始まり〈中〉 (新潮文庫)

ローマ人の物語〈30〉終わりの始まり〈中〉 (新潮文庫)


いわゆる五賢帝の時代っていうのは、実子が皇帝を継承することはまったく無く、それぞれの時代の皇帝が次の皇帝を指名し、養子にするというパターンだったのだそうで。それはたまたま彼らに子供が居なかったから、良さげな人材を見つけては後継者として育成し、次期皇帝としての「正統性」を持たせるために養子にしたらしい。つまり、どれだけ実力があっても、それなりの「正統性」が必要であると。そんなもんですか。
マルクス・アウレリウスにしても、息子コモドゥスが必ずしも皇帝としてベストとは思っていなかったが、なまじ実の息子であるために、それ以外の人間を皇帝に指名するのは「正統性」という点で問題があり、将来に禍根を残すという判断から結局コモドゥスを後継者にしたとか。ところがこの息子が実はアホぼんだったという、何とも難儀な話で。ままならんでもんですな。
このあたりの時代の話は、映画になったりもしていて、最近では「グラディエイター」がこのコモドゥスが父親を殺そうとする、なんていうふうに脚色してるらしい。先にこの映画を見ておけば、もっと面白かったかも知れんなあ。