野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

だいたい3

「新潮文庫の100冊」にも何度となく取り上げられた夏目漱石の「三四郎」。実は今まで読んだことがなかった。「我輩は猫である」は何度も読んだのだけど。日本人としてそれはいかがなものか、ということで手に取ってみたわけだ。

三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)


「大いなる暗闇」広田先生は苦沙弥先生だ。佐々木与次郎は迷亭君だ。野々宮さんはもちろん、理学士水島寒月君だ。ということで、何のことはないおなじみの面々ではないか。そこに三四郎を放り込んでみたらどうなるか、というところだ。新潮文庫の裏表紙には「青春の一時期において誰もが経験する、学問、友情、恋愛への不安や戸惑いを、三四郎の恋愛から失恋に至る過程の中に描いて」とあるが、どうもそういう読み方ではあまり面白くない。ここはやはり、与次郎の軽佻浮薄ぶりを、そして哲学を煙にして鼻から吹き出す広田先生の浮世離れした世界観を、漱石の名調子で楽しむべきではないのか。ってそんなの他の人にとっては大きなお世話だけど。「猫」の苦沙弥先生よりも、広田先生はクールで超然としている。なるほど師匠にしたくなるかもしれない(内田樹「先生はえらい」参照)。
三四郎と広田先生の会話:

「実は佐々木君の所へ来たんですが、居なかったものですから……」
「ああ。与次郎は何でも昨夜から帰らないようだ。時々漂泊して困る」
「何か急に用事でもできたんですか」
「用事は決して出来る男じゃない。ただ用事を拵える男でね。ああ云う馬鹿は少ない」

ところで、光線の圧力を研究している野々宮さんの発言に「ガリレオが寺院の釣り洋燈の一振動の時間が、振動の大小に拘らず同じである事に気が付いたり」とある。そういえばそうだったような気もするけど、え、本当にそうだったっけ?と思い始め、ちょっと計算してみようとした。エネルギー保存の法則。振動させ始める最初の高さを決めれば、最高速度、つまり一番低い部分での速度は簡単に計算できる。
だけど、周期は?あれこれひねくり回しているうちに、ややこしげな微分方程式を解くことになってきたが、これって解けるのか…?
ギブアップしてGoogle様にお伺いをたててみた。なんだよまともに計算しようとすると、やっぱり難しいよ。楕円積分とか出てきやがった。こんなの習ってないよ。新課程(1980年代当時)だと思って馬鹿にしやがって。しかも、周期が同じっていうのは、振動が小さい時の近似かよ!
「ゆとり教育」のコンセプトはわかるけど、あんまり教科書をぺらぺらにしすぎると、本当にアホばっかりになるぜ。