ウチダ先生の「下流志向」が文庫になっていた。さっそく買って読んだ。
下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/07/15
- メディア: 文庫
- 購入: 23人 クリック: 261回
- この商品を含むブログ (106件) を見る
ちょっと衝撃的かも。「学級崩壊」とかなんとか、新聞なんかで読んだりしたことはあるけどね。ホンマでっか?この話。
「知らないことがあっても気にならない(=気にしない)」という一種の生存戦略。意味のわからないものをスキップすることによって、彼ら/彼女らにとって世界はチーズのように穴だらけ。そこに穴がひとつやふたつ増えたところで、そりゃどうってことないよなあ。でもホント、それってやっぱりどこか「壊れてる」って思う。大丈夫なのか、それで。
「自己決定・自己責任」という幻想にもとづき、個人レベルでリスク社会にさらされて行く弱者たち。一方で、相互扶助的集団のメンバであることのアドバンテージを最大限に利用し、巧みにリスクヘッジしていくリスク社会の強者たち。その格差は広がるばかり。
社会が現代ほど「豊かで安全」ではなかった過去には、地縁・血縁に基づく共同体が、これら弱者のためのセーフティネットとして機能していた。だが80年代以降これらは、自立した個人がリスクに対処すべし、という「自己決定・自己責任論」により崩壊していった。
このあたりは、先日読んだ「日本の難点」に書いてあったのと同じ内容と理解している。同書においては、「社会の包摂性の消失」とか「社会の底が抜けた」というような表現をしていた。
なんともやりきれない話じゃないか。どうすりゃいいんだ一体。