以前にも書いたような気がするが、浦沢直樹は「羅生門」を読んで近未来SFの構想を得た。そして脳科学者・茂木健一郎は空港で女の子が「サンタクロースっていると思う?」と言うのを偶然聞いて、クオリアのコンセプトを着想した。
ことほど左様に、同じ外界からの刺激であっても、その受け止め方、さらにはアウトプットされるもの人によって千差万別である。
そんな茂木センセの「脳と仮想」を読んだ。
- 作者: 茂木健一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/03
- メディア: 文庫
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彼がクオリアクオリアと唱え始めた、最初の本だろうか。意外と読みやすかった。んで結局どないやねんと聞かれると、正直うーん、となるけど。
「すぐれた芸術作品は人の心を傷つける」と書いてあって、あっ、と思った。スーザン・ソンタグも「本物の芸術はわれわれの神経を不安にする力をもっている」と「反解釈」に書いていた。何かが入り込んでくる感じ、「やられた」という感じを「傷つける」と表現している。なるほど。ソンタグの言わんとしていることが、これでわかったような気がした。
ビールを飲むと、胃壁が傷つけられる。それにより食欲が亢進する。そんな理屈だろうか。