野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

2002年のトヨタは最強の自動車メーカだった

「リーンソフトウェア開発」を読んだ。トヨタ生産方式などに代表される、リーン思考は最近のハードウェア開発では一般的になってきている。それをソフトウェア開発にも取り入れたらどうよ、てな内容なのだ(と思う)。

リーンソフトウエア開発?アジャイル開発を実践する22の方法?

リーンソフトウエア開発?アジャイル開発を実践する22の方法?


「訳者あとがき」で平鍋さんはこの本のことを「硬派な」アジャイル本、と評されている。たしかに。手法というより思想を説く本だからだろうか。読むのに結構パワーが要る感じがする。頭を使う、というか。例えばXPについての本ならば、色々なプラクティス、特にテクニカルなものについて具体的に説明されているものが多いので、それはやっぱり読んでて楽しいし、一緒にその思想が解説されていてもわりとすんなりと頭に入りやすい。だけどこの本は「プラクティスを真似するな」と警告する。いや、実際には真似をしてはいけないとは言ってない。その背後にある思想を理解することなしに上辺だけ(=プラクティス)を真似するな、ということなのだ。はい、ごもっともでございます。
リーン思想の基本はシンプルで、とにかく「ムダなことをしない」ということなのだが(多分)、これって結構むずかしくて、何がムダで、何がそうでないかをちゃんと判断できないといけない。重要な決定を遅らせるのと問題を先送りするのは違うし、「できるだけ速く提供する」のは無謀な日程計画を立ててエンジニアに圧力をかけることではない。本を読んでるうちは、あぁそうでんなぁと思っていても、実際に自分がやっていることに対して、これはムダなことだと判断し、やめてしまうのには相当な勇気が要ることだろう。

最後に「特殊な環境」として「組込みソフトウェアとハードウェア制御」が挙げられているのにはちょっとがくっときたけど。やっぱり特殊なのね。