野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

アメリカのアレ弾いてよセンセー

インターネット接続がとてつもなく不安定な件。府中の研修所では、有線・無線とも特に問題なく使えているので、どうやらホテル側の問題らしい。
さて先日「憂鬱と官能を教えた学校」を読んだばかりであるが、今度はピアニスト南博さんの「白鍵と黒鍵の間に」を読んだ。

白鍵と黒鍵の間に -ジャズピアニスト・エレジー銀座編- (小学館文庫)

白鍵と黒鍵の間に -ジャズピアニスト・エレジー銀座編- (小学館文庫)


音楽高校へ通う南少年が、ある日突然キース・ジャレットを聴いてジャズピアニストになりたいと思い立ち、場末のキャバレーや銀座のクラブのピアノ弾きを経て、バークリーに留学するまで、のお話。
正直、いまいち文章がこなれてなくて素人くさい印象は否めないが、内容は面白い。特に、銀座のバンドマンの生態や、「ある組織の方々」とのかかわり、など。誰にも聴かれることなく空費されるだけの音楽を演奏し続けることは、音楽家として死活的に重要な何かが、少しづつ損なわれていくものらしい。それを感じていた南さんは、バブル期の銀座で普通のサラリーマンの何倍もの大金を稼ぎながらも、「このままではまずい」と思ってバークリーへ行った、ということのようだ。この人は、どれだけデタラメなことをしていても、やはりどこか育ちが良いというか、ここから先は譲れないという、ある種のストイシズムみたいなものがあるのだなきっと。
続編「鍵盤上のUSA」の文庫化を待とう。