野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

印象派とモダンアート

天保山のサントリーミュージアムで開催中の「印象派とモダンアート」展を観に行った。出かけたのがけっこう遅い時間だったのでどうしようかと思ったのだが、やはりせっかくの平日の休みなのだから、金曜日のうちに、ということで強行した。そしたら平日だからもう通勤ラッシュの時間にかかり始めで、電車が混んでてこいつはちょっと失敗。
だけど、18時半ごろに到着した会場は閑散としており、ゆっくりと観ることができてやっぱり良かった。
会場は「印象派」「20世紀の具象美術」「20世紀の実験的美術」の3つのセクションに分かれている。
印象派というのが出て来た当時、身の回りの人物や風景を描くこと自体がアヴァンギャルドなことだったのだそうだ。それまでは、神話とか伝説とかそういうものをモチーフにして書かれるのが普通だったとか。へえ知らんかった。印象派ってあんまりなぁ、と思っていたのだが、モネなんかは意外と好きな感じだった。ぼーっとした画で、微妙な色使いがほっとするというか。一方でやっぱりルノワールはあんまりピンとこなかったけど。印象派がどれでもぼーっとした感じとは限らない。セガンティーニは結構ぶっとくて、かなり光が強い。
「20世紀の具象美術」のセクションには、シャガールも一点だけ、「エッフェル塔前、祭りの人々」がある。その向かいにはデュフィの「セリーヌ、オリーズとマルヌ川」があって、これってモチーフとか色使いとかまるっきりシャガールなんだけど、良いのだろうか?わざとやってる?
「20世紀の具象美術」と「20世紀の実験的美術」の間には「花束の回廊」というのがあり、花をモチーフにした画ばかりを集めている。マティスはここに「ベゴニア」の一点だけ、しかもモノクロっていうのがちょっと残念。
「20世紀の実験的美術」のセクションで、ついに出ましたねえ御大ピカソ。3〜4点あったと思うがテイストはみんなばらばら。ピカソ恐るべし。ハトの画が一番好きだな。でやっぱりこのセクションが一番楽しい。カンディンスキーは一品だけ、「一つの斑点(褐色上の赤)」の赤がなんとも禍々しいこと。クレーもちっちゃいのが一点だけで、でも観たことの無い「生け贄の獣」のトーンを抑えた色彩が妙に渋い。そしてミロ、オレンジ、緑、赤、青と原色系を散りばめながら、それでもけばけばしくならないこの不思議。ミロってあんまり観られないのよね。どっかでミロ展を企画してくれないかな。
という感じで、たまにはこんな幕の内弁当も楽しいですな。
このサントリーミュージアム天保山、場所も全体の雰囲気も僕は大好きなのだが本年の12月をもって休館となってしまうというのは本当に残念なことだ。