野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

強羅に一本取られた夜

箱根旅行2日目。
8時からがっつりと朝食を摂り、まずは宿をチェックアウト。2日目は初日と違うところに泊まるからだ。同じところに連泊すれば面倒はないのだが、なにぶんよく知らないところでの宿泊なので、万が一「ハズレ」だった場合にそなえての、まあ言わばリスクヘッジである。初日に泊まった「竹の葉」のチェックアウト時に、今日はどこに泊まるのかと宿のおっちゃんに訊かれたので、ええ今日はラフォーレ強羅へ、と答えたら、何なら荷物をラフォーレに持って行っときましょうか、とのオファーが。それはもう、願ってもないことである。ではお言葉に甘えて。
さて本日はバスで仙石原方面へ行くことになっている。まー「ガラスの森美術館」でも行ってみっか、ぐらいのテキトーな計画しか立ててなかったのだが、前述の「竹の葉」のおっちゃん曰く、バスの終点である「箱根湿生花園」がオススメとのこと。では、というので強羅駅前からバスに乗って終点まで。
終点まで行ったのは結局我々だけだった。降り際に運賃を払おうとしたら、運転手さんが、本日はどのような予定にしているのか、と訊いてきた。ええまあこのあとはガラスの森美術館とポーラ美術館でも、と答えると、ならば一日乗車券を購入した方があきらかにリーズナブルである、とのアドバイスをいただいた。なるほど、ということで1,000円の一日乗車券を購入した。これでバス乗り放題だ。
なんか、箱根の人たちってみんな親切。
さて、箱根湿生花園。さほど期待していなかったのだが、これが結構見応えありで楽しめた。特に企画展の「食虫植物展」。ウツボカズラのグロテスクなフォルムを愛でたり、ハエトリグサの葉の上をアリが歩いて行く様子をドキドキしながら観察したり。何だかんだで1時間以上過ごしてしまった。
ちなみにここで入場時にソフトクリームの割引券をもらったのだが、なにぶん寒いくらいの涼しさなので、ソフトクリームはあまり食指が動かず。残念。
次はバスに乗って「ガラスの森美術館」へ。12時ちょっと前だったが、ここのレストランでとりあえず昼食を採ることにした。箱根産ズッキーニとチキンのパスタ(ペンネ)だったかな。これとコーヒーのセット。コーヒーをエスプレッソにできませんか、と訊いてみたが、できません、との返事だった。ふん、まあそんなところだろうと思ったよ。でまあついでにグラスワインの白も注文して。しばらく待っていると、コーヒーとワインが耳を揃えて運ばれてきたのには度肝を抜かれた。やるなあ。普通は「コーヒーは食事の後にしますか?一緒にお持ちしますか?」ぐらい訊かれることはよくあるが、食事が運ばれてくる前にコーヒーが来るなんてえのは初めてだねあたしは。
あ、パスタはとても美味しかったけどね。
ガラスの森美術館、展示そのものはまあ個人的には「ふーん」だったけど(ガラス細工にはあんまり興味ないっす)、敷地内の「森」が良いですなやっぱり。これまたあちこちと散策してみたりして。
さらにバスに乗って、今度はポーラ美術館へ。今はちょうど「レオナール・フジタ 私のパリ、私のアトリエ」なる企画展示をやっている。レオナール・フジタの画をちゃんと観たのは初めてだ。子どもの画がたくさんあるのだが、この子どもというのが全然可愛くない。ものすごく邪悪な感じで、怖いのだが、これを大量に見せられると、妙に癖になってついつい見入ってしまう。それにしてもポーラ美術館のコレクションは膨大だな。印象派もあればピカソもダリもシャガールもミロもマティスも、なんでもある。節操なくちょい齧り、という感じがしなくもないが。化粧道具のコレクションがあるっていうのはポーラらしくて面白いと思ったけど。まあいずれにしてもこの美術館、これまた静かな森の中にあるというロケーションがとても良い感じである。
という流れで美術館のハシゴをして強羅に帰ってきて、とりあえず今夜の宿であるラフォーレ強羅にチェックイン。この日は宿泊だけのプランにしている。夕食付きのプランはもちろんあるのだが、あまりにも高いからだ。いったいどれくらい立派なものを食べさせてくれるのか、その実力のほどもよくわからんのにそんな大金を投じるほど、わたくし鷹揚ではございません。まあ食事は外で適当なみせを探して食べよう。
ぐらいに考えていたのだが。
強羅ってのは難儀なところだ。そもそも飲食店が少ない。そして、大抵の店が午後7時には閉まってしまう。つまり、夕食を食べられる店はほとんど無い。
それでも強羅駅付近で7時ぐらいまで営業している店を何軒かピックアップし、そこを目指していったところ、臨時休業、売り切れで閉店、なんでか知らんけど閉店。とりあえず駅の東側にある候補は全滅。かろうじて、ショボい蕎麦屋に入った。店はショボイが、天ざると名物とろろそばは結構イケた。とりあえずそんな感じで早めの夕食を済ませて、あとは小田原名物のかまぼこ(さつま揚げですな)でも駅前の土産物屋で買って帰り、ホテルの部屋で一杯やるか、と思っていたら午後6時を回ったところで駅前の売店(酒屋を除いて)全部閉まってやがるのだ。どういうことだお前らふざけんな、と思ったがこればかりはいかんともしがたい。おまけに雨まで降り始めた。もう仕方がないので、ケーブルカーに乗ってすごすごとホテルへ帰ったのだった。
強羅に泊まるときは、晩飯は宿で食べる覚悟をしていくこと。したがってその宿で供される食事がいかなるものであるか、というのは非常に重要な問題である。
というのが今回得た教訓だ。