野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

トランジスタ時代の生き残り

例によってタワーレコードから宣伝メールが来る。「輸入盤千円生活」の名盤CDが、8月27日までの期間限定で円高還元セールとして888円!
ほほう。
こんな名盤がありまっせ!というのを見ていたら、なんとYMOの"Solid State Survivor"があるではないですか。
タイトルに時代を感じますな。Solid Stateってのは、真空管を使わずトランジスタなどの半導体素子で設計された回路、ひいてはそのようなテクノロジー、という意味だったはず。つまり、真空管からトランジスタへの移行がほぼ完了していた時代、というわけだ。
最近では、磁気を使用しない、半導体メモリだけで作られたストレージをSSD=Solid State Drive、なんて言ったりするけどね。

Solid State Survivor

Solid State Survivor


中学生ぐらいのときはアホみたいにYMOばっかり聴いてたくせに、意外とアルバムを持ってなかったりするのだ。"Yellow Magic Orchestra"のUS版と"Multiplies"ぐらいですな。
昔よく聴いていた曲は、CDやiTunes Storeで安くなっていたりすると、つい買ってしまったりするのだが、YMOはあんまり見かけないのだな。なのでこれは千載一遇のチャンス。
よく考えてみたら、YMOがブレイクするきっかけになったこの超有名アルバムは、コピーすら持ってなかったことに気づいた。TECHNOPOLISRYDEEN、と誰でも知っている名曲であることは認めるが、個人的にはもっとダークで内省的な音が好きで(陰気な少年ですな)、このアルバムは「ちょっとばかりポップすぎる」ということで敬して遠ざけていたような気がする。そんな好みだから、この後に続く"BGM"とか"TECHNODELIC"あたりのアルバムがフェイバリット、ということになる。
いま聴きかえしてみて、やはり全体に浮かれた80年代の幕開け、というポップでカラフルな印象である。けれども、慄えるほどに美しいメロディの名曲"CASTALIA"が、きっちり「ダーク路線」を押さえているのが嬉しい。これとちょっと病んだ感じの"INSOMNIA"、そして王道の"BEHIND THE MASK"あたりがわたくしの好みだ。
というわけで、なんだかんだ言って名盤なので、80年代にテクノポップの洗礼を受けたおっさんとおばはんは、ケチケチせずに黙ってこのアルバムを買うべし。