野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ジョニーウォーカーによる猫の虐殺は去勢の象徴か?

7年ぶりに「海辺のカフカ」を読み返してみた。

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)

海辺のカフカ (上) (新潮文庫)


先日「生き延びるためのラカン」を読んで、その影響のもとにこの本を読むと、またなんとも。
あれこれとメタフォリカルなモチーフをちりばめられた現代の神話、といったところか。世界で一番タフな15歳、田村カフカ君は誕生日に家出をする。そう、やはり神話の世界では、男子は旅に出るのだよ。大きなテーマは「父親殺し」で、まさに現代のオイディプス神話だろう。普通は、人間のナカタさんが猫と会話できるはずがない。四国にいるカフカ君が中野区にいる父親を殺せるはずがない。でもこれは神話だから、そういうのも「あり」なのだ。無意識や夢の世界が現実に漏れ出て、グダグダになっている。対称性人類学ですな。これを読みながら、嫉妬に狂った六条御息所が生霊となって葵の上を呪い殺す、あの源氏物語を思い出したら、甲村図書館の大島さんがその話を始めたので思わず苦笑。
しかしアレだな、空から大量のイワシやアジが降ってくる、って聖書かなんかでそんな話があったかな、と思って調べてみたら、なんと世界各地でそのような事例が多数報告されているようで、これまたびっくり。
下巻は次の週末にでも読むつもり。