野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

風呂はいいなあ

やっと「俺に似たひと」を読んだ。これまたブックファーストでは見つけられなかったけど、ジュンク堂にはあっさりあったのよ。
作者の平川克美さんが、一昨年ぐらいからずっとツイッターでつぶやき続けていた、父親の介護の記録、みたいな本だ。

俺に似たひと

俺に似たひと


ジュンク堂では、「老人福祉・介護」のコーナーに置いてあった。うん、いやまあ気持ちはわかるけどさ。ちょっと違うだろこの本は。あんなところに置くから、フェミニストの社会学者に「書かれるべきことが書かれていない。介護マネジメントのなかには家族関係のマネジメントも含まれるはず」とかいう、なんだか的外れな批判をされてしまうんだよ。
この本のテーマは、「雪かき仕事の大切さ」だ(と勝手に決めつける)。
「誰かがやらなくてはならない絶対必要な仕事なのだけれど、それをやっても達成感が得られるわけでもなく、賃金が払われることもなく、社会的敬意が向けられるわけでもない」というあの「雪かき仕事」ね。
村上春樹の小説では、主人公が部屋の掃除をしたり、洗濯物をたたんだり、食事の用意をしたり、というような「雪かき仕事」をクールにかつ手際よく片付けて行く。わたくしはあれが村上作品の魅力のひとつだと思っているのだけど、同じような感覚で「俺に似たひと」を読んだんである。これまたしみじみと、ええ本ですよ。