「リトル・シスター」の文庫版が出ているではないですか。「かわいい女」の新訳ですな。村上訳チャンドラーの第3弾。「さらば愛しき女よ」も「長いお別れ」も新訳より先に読んでたけど、これは読んでなかったな。
- 作者: レイモンドチャンドラー,Raymond Chandler,村上春樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/07
- メディア: 新書
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それにしても、相変わらずわかりにくいストーリーだ。なんでこんなに話が込み入ってるんだろう。
と思っていたら、もともとチャンドラーの小説って「そういうもの」らしい。「チャンドラーの小説においてはしばしば物語の筋の整合性が問題になるが、この『リトル・シスター』ではその傾向がいつもより強くなっている」と「訳者あとがき」に書かれている。「僕は何度もこの小説を読み返しているし、このように翻訳までしているのだが、結局誰が誰を殺したのかと訊かれると、急には答えられない」とも。
それって小説としてどうなんだ、と思わないでもないのだが、それでもなお、この私立探偵フィリップ・マーロウシリーズはわたくしを惹きつけてやまないものがあるんですな。やはり次から次へと繰り出されるマーロウ君の憎まれ口が最大の魅力だろう。あんまり利口な人間じゃないと思うけどね。