野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

あの鮭

先週より京都文化博物館にてシャガール展を開催中である。忘れないうちに行かなければ… と思っていたのだが、ただいま国立近代美術館では高橋由一展を開催中、今月21日まで、との情報を得た。うむ、つまりこちらの方が優先度が高いということではないか。
というわけで、ちょいと京都まで。
まあそもそも、家を出たのが昼過ぎで、日曜日のそんな時間にシャガール展なんか観に行ったらえげつない人出でとても画なんか観てられないだろう、というのは簡単に予想できる。だからそういう意味でも、今日は高橋由一の方が正解なのだ。
国立近代美術館は、結構好きなのだ。建物の雰囲気が良いし、展示の企画もわりと趣味に合うのが多い。しかしながら場所がどうも中途半端なところにある。京都の市バスはなんだかどうも好きになれないし、地下鉄を乗り継いで、あげくに駅から10分ほど歩くのも何だかめんどくさい。
というわけで四条河原町から国立近代美術館まで歩いてみました。
じゅうぶん歩けますな。40分かからんぐらいじゃないか。真夏なんかはちょっと勘弁してくれってとこだが、今ぐらいの季節で、よく晴れた日にはなかなか気持がよろしい。
さて高橋由一。ちゃんと観るのは初めてだと思う。近代洋画の開拓者である。
正直なところわたくしは油彩より水彩画のほうが好きなのだ。それでもやはり、高橋由一師匠の画というのは、なんというかこう、訴えかけるもんがありますな。ちゅうかもう勢いが違うね。重厚かつリアル、何とも言えん迫力ですよ。
たんに油絵が好き、というような次元ではなく、とにかく日本で洋画の技法を定着させねばならない、という使命感みたいなものに突き動かされていたようだ。芸術的な動機もさることながら、様々な風物を「記録する」ということへの執念がベースにあるんですなあ。今なら、そんなもん写真に撮っといたらええやんかいさ、と思ってしまうが、いやいや当時の写真技術など、とても記録目的での用途に耐えうるものではなかったようだ。そりゃそうだろ、色彩の再現性にしても耐久性にしても現代の技術(写真の技術自体がすでにかなり古くなってきている)からすれば桁違いにお粗末なわけで、それとレベルの高い手描きとを比べるっていうのはちょっとばかし酷ですわなぁ。