以前「アースダイバー」を読んだときに、うっわ面白いなーこれ、大阪版もやってくれないかなーと思ったものだ。
ついに出ましたね、「大阪アースダイバー」。
- 作者: 中沢新一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/10/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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これがまた面白いのですよ。
今の大阪市は上町台地あたりを除いて、昔はほとんどが海だった、というのはよく知られた話だ。生駒山麓あたりがずっと海岸で、上町台地は半島のような格好で突き出していた。そのうち上町台地周辺には土砂が流れ込み、砂州ができる。そこに南方と半島からの「海民」がやってきて、やがて都市ができた。
大阪市を南北に貫く上町台地を、権力者の生の威力を表す「アポロン軸」、そして生駒山から発する「死の磁力」に沿った「ディオニュソス軸」を設定する。「アポロンの原理」は、国家という新しい考えによって国づくりを進めようとする権力の思考、「ディオニュソスの原理」は、都市や国家以前の、人類に普遍的な野生の思考。これら二つの異種の思考が垂直に交わりながら形成されていったのが大阪である。として、大阪人のメンタリティや大阪の文化についていろいろ考えてみようというわけだ。ナニワの八十島に流れてきた海民たちが始めた商い。ネクロポリス(死者の国)と笑いの芸能。河内音頭。捕鯨とだんじり。などなど。
深層の大阪を掘り出して、大阪のあれこれについてルーツを探り、謎を解く。まことにアクロバティックでスリリングな考察が繰り広げられるのだ。