先日の「死を想え」に続いては、「美への渇き」。
- 作者: 多田富雄,吉本隆明,ほか
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/05/25
- メディア: 文庫
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今度は御大・吉本隆明師の登場だ。なのだけど、最初に「国語」として萩原朔太郎や宮沢賢治などの詩を並べて、で最後の章で「社会」として国家について論じる、というのはいったい何なんだこりゃ。「国語」はまあ良いとして、「社会」はどの辺が「美への渇き」なんか、残念ながらあたしの頭ではもひとつわかりませんよ。しかも他の教科と比べて、文章の難易度にえらい差があるし。こんなの中学生に読めるんか。いやまあ読める中学生だっているだろうけど。「わからんヤツは読まんでよろし。甘ったれなさんな」ということかも知れまへんな。さすが御大。
「美への渇き」というお題からすれば、「数学」(小林昭七)なんかが一番しっくりきてますな。数学の美しさっていうものを、とてもていねいに、わかりやすく書いていると思う。「道徳」(大橋良介)の、カントや解説から始めて、死との関わりで「美くしさ」について考える、とか「理科」(多田富雄)の美と醜さが隣合わせ、みたいな話も面白い。これらの人たちなんて、この本を読むまで名前も知らなかったけど。