野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

御大、国家と美を語る

先日の「死を想え」に続いては、「美への渇き」。


今度は御大・吉本隆明師の登場だ。なのだけど、最初に「国語」として萩原朔太郎宮沢賢治などの詩を並べて、で最後の章で「社会」として国家について論じる、というのはいったい何なんだこりゃ。「国語」はまあ良いとして、「社会」はどの辺が「美への渇き」なんか、残念ながらあたしの頭ではもひとつわかりませんよ。しかも他の教科と比べて、文章の難易度にえらい差があるし。こんなの中学生に読めるんか。いやまあ読める中学生だっているだろうけど。「わからんヤツは読まんでよろし。甘ったれなさんな」ということかも知れまへんな。さすが御大。
「美への渇き」というお題からすれば、「数学」(小林昭七)なんかが一番しっくりきてますな。数学の美しさっていうものを、とてもていねいに、わかりやすく書いていると思う。「道徳」(大橋良介)の、カントや解説から始めて、死との関わりで「美くしさ」について考える、とか「理科」(多田富雄)の美と醜さが隣合わせ、みたいな話も面白い。これらの人たちなんて、この本を読むまで名前も知らなかったけど。