野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

釣り人のエスプリ

京都伊勢丹の美術館「えき」で開催中の、ロベール・ドアノー展を観に行った。
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あの「パリ市庁舎前のキス」で有名なドアノーね。今年は生誕100周年なんだとか。実はわたくし、彼の名前は知ってるけれども作品をちゃんと観るのは今回が初めて。
いやあ、良いですな!なんとも言えずラブリーでピースフル。観てるとつい顔がほころぶと言いますか。もちろんドイツ占領下のドキュメンタリー的な、あまりピースフルとは言い難いものもあるにはあるけど。市井の人々の何てことない日常を切り取るそのやり方が絶妙で、またその眼差しが人々への愛に満ちているという感じ。ちょっとした皮肉みたいなものを含みつつも、そこにまったく悪意というものは無く、思わずくすりと笑ってしまうという。タイトルの付け方もまた秀逸だし。ギャラリーのショーウィンドウに展示された女性のヌード写真に対する、道行く人々の反応を撮影した連作、「憤慨する女性」、「幸せな鑑賞者」、「横目」、「美術品と警官」というのなんかもう、これこそエスプリってやつですかいダンナ、と言いたくなる。
「本日の一枚」として、記念に「ノートルダムの怪獣」のポストカードを買って帰った。いやもう、すっかりファンになってしまいましたよ。