野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

生のものと干したもの

もう3月て。勘弁して下さいよ旦那。

さて朝日新聞の広告で、『「知」の挑戦』なんていう本が出ているのを知った。本と新聞の大学、だって。モデレータは姜尚中さんとアエラ編集長の一色清さんで、各界の識者が講義を行う、という体裁だ。


現代のわたくしたちは、膨大で、種々雑多で、玉石混淆で、有象無象の情報の流れにさらされている。そんな中で正しいものを見極めるには、ベーシックな知をベースとした正しい「座標軸」が必要である。そして、「知」というものは、新聞を中心とするジャーナリズムなどの「生もの」と、大学や本などによって担われる、アカデミズムの中にある「干もの」をバランスよく取り入れることが大事で、それがまた正しい「座標軸」を手に入れることにもなる、と。いかしながら現代において生ものと干ものの知識はうまく接続していないし、それを身につけられる場というのもあまり無い。だからそれを提供したい、というのがこの一連の講座の主旨であるそうだ。なるほど姜さんうまいこと言うな。
第1回の一色清×姜尚中による「日本はどうなる?」という基調対談に続いて、朝日新聞編集委員の依光隆明氏による「私的新聞論ーープロメテウスの罠」、政治学者・杉田敦氏の「政治学の再構築に向けて」、元朝日新聞編集委員である加藤千洋氏の「2020年の中国ーー世界はどう評価するか」、そして宇宙物理学者の池内了氏による「科学と人間の不協和音」、という全5回までが第I巻の内容だ。
実にバラエティに富んでいて面白い。実はわたくし朝日新聞の「プロメテウスの罠」の「官邸の5日間」編はけっこうよく読んでたのよな。だから依光さんの話なんかはかなり興味深く読ませてもらった。ジャーナリズムの劣化というようなことが最近よく言われるけど、まあ彼らは彼らなりに色々とがんばってるわけですよ。
というわけで引き続きII巻、行きます。