野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

本当にありそうな作り話

土日は結局、うろうろ出歩いてホテルに帰ったら昼寝して、合間に本など読んで。とまことに怠惰な過ごし方をしていた。ちょっとぐらい仕事でもしたらどやねん、と思わんでもないのだが、どうもやる気スイッチをどこかに置き忘れてきたようだ。昼寝なんかしたら夜に寝られなくなるんじゃないかと心配したが、全然そんなことなくて12時ぐらいになるとどうしようもなく眠くなり、夜は夜でしっかり寝てしまうというのには我ながら感心する。
そんな感じでこれまた軽めのものを、ということで「向こう端にすわった男」を読んだ。

向う端にすわった男 (ハヤカワ文庫JA)

向う端にすわった男 (ハヤカワ文庫JA)


あの「ススキノ探偵シリーズ」第4作ですな。あ、しまった第3作を飛ばしてる。まあいいけど。今回はちょっと趣向を変えて短編集ですな。ススキノで便利屋をやっている<俺>が巻き込まれる諸々の事件についてのお話だが、いずれの作品も登場人物がまあ揃いも揃ってロクでもない連中ばかり。でもそれが何とも言えず面白いのよな。そんな中でも「秋の終わり」とか「自慢の息子」なんかはちょっとばかしブルージーだけど。それにしても一番最後の「消える男」は結局、なんだかよくわからない話だったな。
「調子の良い奴」は完全にフィクションであるにもかかわらず、作者の周辺の人々はそれぞれ好き勝手に自分の思い当たる人物に対して「モデルはあいつに違いない」と決めつけているのだそうだ。いかにも、周りにそんな「調子の良い奴」がいそうな話なんですな。幸か不幸か、わたくしにはそういう人物は思い当たらないけど。
このシリーズ、主人公の<俺>はちゃんと歳を取っていくようになっている。本作では29歳という設定だ。シリーズでこれからどんな風におっさんになっていくのか、そこもまた楽しみなところですな。