うむ、確かに、改めて「趣味は何ですか?」なんて訊かれたら、ちょっと答えに窮するかもしれないな。
- 作者: 高橋秀実
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 文庫
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ノンフィクション作家の高橋秀美さんは、非常に多才な方のようだが、実はこれといった趣味を持っていないらしい。そこで、「趣味とはいったい何なのか?」という問いを立て、そして世の人々の様々な趣味について取材をして回ったのがこの「趣味は何ですか?」という本だ。本人はいたって真剣なのだが、傍から見るとどうにもおかしい、ということが世の中には良くある。そして、手段が目的化してしまうというのも往々にしてあることだ。この本の中で取材を受けているのは、まさにそんな感じの人々で、失礼ながらどうにも滑稽なのである。そして、それに高橋さんがばしばしとツッコミを入れるのが何とも可笑しい。けども彼らを笑いながらもその一方で、他人事じゃないよな、とも思う。おそらく自分でも、似たようなことはやっているのだ、きっと。
興味深いのは、これらの、何かの趣味に深くコミットしている人たちっていうのは、どうも揃いも揃ってまったく楽しそうじゃないということだ。なんでよ。趣味って道楽ちゃうんか。読んで字のごとく、楽しいはずなんちゃうんか。と思うがそうではないのだな。趣味っていうのは、実はある種の呪いみたいなものなのかも知れない。
人間というのは、まことに業の深いものでございますな。