野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

仏陀の国で

そうか、「遺体」のあの人か。と、後でWebサイトを見て気が付いた。レイさん(id:reiworks)からお借りしているR文庫の中でも、なかなか手を付けられなかった「物乞う仏陀」をやっと読んだ。いったん手をつけたら、もう貪るように読んで、打ちのめされた。これはもう、感想など書きようが無い。

物乞う仏陀 (文春文庫)

物乞う仏陀 (文春文庫)


アジアの国々の路上で物乞いをする人々や障害者を取材して回る旅の記録。つい先日「ルポ 貧困大国アメリカ」を読んで、その苛酷さに胸ふたぐ思いをしたものだが、これはまたさらに違う次元の話だ。アメリカの貧困は、ヘタすると日本もいずれこうなってしまう、というある種のリアリティがあり、また危機感も覚えるのだが、これはあまりに壮絶すぎる。
アジアの貧しい国では、障害者がまともに生きていくのはほとんど不可能であり、その家族も含めて極貧の生活を強いられる。戦争で負傷したり、地雷で手足を吹き飛ばされたり、枯葉剤の影響で先天的な奇形があったり、あるいは原因不明のハンセン病にかかったり… そういうなんとも不条理な理由で、障害者になる。もっとひどい場合には、マフィア組織が幼児を誘拐してきて、彼らの管理する物乞いにレンタルする。子どもが一緒にいる物乞いの方が、儲かるから。そう、物乞いはビジネスになっている。このレンタチャイルドは5歳ぐらいまでで、それより大きくなると、腕や脚を切り落としたり、眼を潰したりして治療費を請求し、そしてまた彼らを物乞いにする。
アジアは、ディープだ。ディープすぎる。とりあえず今は、そんなアホみたいなことしか言えない。