野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

エラそうなこと言ってすんまへん

各方面からオススメされていたのだが、けっこうなボリュームであるためなかなか思い切りがつかなかった「永遠の0」に、ついに手を出した。昨日は胃痛で仕事も休んで一日引きこもっていたこともあり、一気に読み切ってしまった。

永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)


ずっと祖父だと思っていたひと以外に、太平洋戦争で戦死した「実の祖父」がいた。その人物について、当時の彼を知る人々にインタビューをしていく姉と弟。何人もの人に聴き取り調査を続けて行くうちに、だんだんと祖父の人物像と、意外な事実がわかってくる。と、そんな話。
この、「実の祖父に関する意外な真実」というのがもう、最後に「参りました」という感じになるわけで、そこの部分だけで極上エンタテインメント。途中の航空機や戦艦に関する記述はまた、軍事ヲタの方々にはたまらんのではないだろうか。わたくしはあんまり興味ないのだけど。むかし「坂の上の雲」を読んだときには、延々と続く戦艦の装備等に関する詳細な記述にはうんざりしたものだ。しかしその手の話はしつこくなりすぎないようさりげなく、しかしていねいに説明されている。攻撃機、爆撃機、戦闘機は違うものだというようなことは初めて知った。
それにしても当時の大本営、軍のエリート達がいかにデタラメなことをやっていたか、なんてのはよく言われることだが、減点方式の評価のなかでとにかく失点を避けることに汲々とし、想定外のことは起こらないと目をつぶり、前線の兵士達はいくらでも替えのきく消耗品と思っている… なんていうのを読んでいると、あれ?なんかこういう話、最近もどこかで聞いたような?
あんまり聞いたふうなことは言いたかないが、戦争から70年近く経つわけだが、この国のリーダー達の体質っていうのはあんまり変わってないのかもね。