野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

真夏にこそ暑苦しいこの一枚を

わざわざ言わなくても良いことだけども、まあホント毎日アホみたいに暑うございますな。あんまり暑いと飲む気にもならん。
いや、ウソですそんなことないですけど、何となく酒を抜いて、これで今年13日めの休肝日、という前人未到の偉業を達成してしまいましたよ。まあ、「前人未到」の使い方が間違ってるけども。
あんまり暑いので、少し前にいつもの790円グールドを買ってしまった(暑さは関係ないけど)。ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」、ストコフスキー指揮で。

ベートーヴェン:P協奏曲第5番

ベートーヴェン:P協奏曲第5番


グールドは昔からストコフスキーのファンだったそうだ。駅のベンチにストコフスキーが座っているのを見つけたグールドは、彼の前でわざとハンカチを落とし、それを拾い上げながら、さも偶然のように「おお、これはこれはマエストロ!」とかなんとか言ってお近づきになったのだとか。それからいったい何をどう言いくるめたのか知らないが、こうやって共演して録音まで残しているわけだ。変態のくせになかなか小賢しい真似をするものだ。
わたくしの好みとしては、ベートーヴェンの書いたピアノ協奏曲の中では第3番が一番好きなのだけど、この第5番もなかなか良い。にしてもまぁとにかく、派手というかちと騒々しいですな。しょっぱなから全開ばりばりで、えっらい力入ってる感じ。でも変態グールド、わりと真面目に弾いてるんじゃないか。まあ巨匠を相手にそんな無茶なこともできなかったのかも知れないけど。Amazonのレビューなんかを読んでみると、これもわりと「異端」に分類されるほうの演奏らしい。ふーん。いったい何が正解なのかわたくしは知らないので、まあ特に事前知識も無しに聴いてみる限り、冗談みたいに速い、あるいは偏執狂的に遅いテンポで弾いてみたりということは無いように思えるのだが。少なくとも鼻唄を歌ったり、はたまた指揮をしてみたり… てなことはやってないようだ。それなら十分に普通じゃないか、と思ってしまうのは、もうすでに変態グールドに毒されてしまっているのかも知れんな。