野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

お聴きになりますか?まさか!

「1980年にはオタクもヤンキーもみんなYMOを聴いていた」とテレビで菊地成孔氏が発言していたが、いやさすがにそれは言い過ぎだ。言い過ぎだけど、まったくの嘘であると断罪してしまうのは少しばかりためらわれる、それぐらいには一世を風靡していたと思う。いわゆるところの「テクノ・ポップ」、それを表現する擬音が「ピコピコ」なのだが本当にYMOがピコピコしていたのは前記のとおり一世を風靡した超有名盤"Solid State Survivor"だ。音楽はほぼ同じ路線だがスネークマンショーのコントを入れた色モノアルバム「増殖」をはさんでその次にリリースされたのが、1981年の"BGM"である。いったいどのようなピコピコ作品が出てくるのかという世間の期待を大きく裏切って、実にダークかつヘヴィな作品となっている。もちろん賛否両論分かれるわけだが、わたくしなんかはもう、これとその後の"TECHNODELIC"が、YMOの名盤と信じて疑わないんである。などと言っている割にはLPもCDも持っていない。いずれは入手しなければ、と長年思いながら現在に至る。で先日、なかなか値下がりしないフェネスの"Endless Summer"をタワレコオンラインの「国内盤まとめ買い15%オフキャンペーン」で入手するにあたって、この"BGM"を抱き合わせ購入したわけだ。

BGM

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ちゃんと聴くのは25年ぶりぐらいか?やっぱりスゴいなあ。こりゃもうインダストリアル系ですな。"Happy End"は、当時はどうも好きになれなかった曲だが、今聴いてもやっぱりわけわからんな。後に別バージョンで聴いてとても美しい曲なのだということを知ったのだけど、フランジャーかけまくってどんなメロディなんだかわからんようにしてるのな。面白いことするもんだ。こういう実験性が、当時の中学生にはなんとも刺激的だったわけですよ。"1000 Knives"も、オリジナルは坂本教授の1stソロアルバムに入ってるが、あのどろどろした感じからとにかく「生きもの感」を抜き取ってメカゴジラ化したような曲、これもスゴい。
このアルバムの演奏時間はA面B面それぞれ最初の4曲が4:30、最後の5曲めが5:20、曲間の数秒を含めると、合計で23分30秒ほどになる。これは、当時の普通の46分カセットテープにギリギリ入らない長さだ。ところが、YMOとタイアップしてるフジのカセットテープだけはどうも録音時間のマージンを多めにしたらしく、アルバムを46分テープにきっちり録音できる、というね。面白いことしますなぁ。ええもちろんあたしはフジのカセットに録音して聴いてましたよ。いやー懐かしい。