野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

意外と動物好きらしい

なるほど「メメント・森」ってか。ふざけてるな。

メメント (実業之日本社文庫)

メメント (実業之日本社文庫)


森達也という人は見た感じけっこうコワモテで、しかも社会派のイメージがある。実際、取り上げるテーマはシリアスなものが多いし、文章もなかなかハードな感じだ。それなのに時々、なんかトボけたことを書いたりする。それがまた、とても冗談なんか言いそうにない人が真顔でギャグをかましているみたいで、やたら面白い。
なんて油断していると、時々グサっと刺さってくるから要注意。飲んだくれのヘビースモーカーで、単なるアカン人みたいだけど、やっぱり油断がならないのだ、この人は。
分かりやすい話はまず疑ってかかれ。考えることをやめるな。そして、戦争や大量虐殺などの災厄をもたらすのは、邪悪さではなく、正義や善意やイノセンスだ。そう、繰り返し訴える。いつも言っていることだ。
この本は、2004年から2007年の間、雑誌に連載されたものをまとめたもの、とのことだが、書かれていることの多くが、特にこの数年、切実な問題として目に見えはじめている気がする。メメント・モリ、なんてていったって、そうそういつも死を想ってばかりはいられない。それでは日常生活に支障をきたす。でも時にはやっぱり、普段は考えないようにしていること、都合の悪いことについても、しっかりと、自分の頭で考えないといけない。きっとそういうことなんだろう。