殺人事件が起こった。しかし犯人は誰かわからない。あるいは、犯人らしき人物はいるのだけどどうも違うっぽい。これを叩き上げで荒くれ者の刑事とか美女のキャリア警官とかちょっと人格が破綻した探偵とかこましゃくれた小学生とか、が巧妙に仕組まれたトリックを見破り、犯人を特定する。というのがいわゆるミステリーだ。が、ときどき、最初にいきなり誰かが殺され、犯人は誰か(オーディエンスには)わかっている。そのトリックもわかっている。というパターンがある。例えばもじゃもじゃ頭でよれよれのコートを着た刑事が、犯人を心理的に追い込みながらトリックを暴いていく、とか。このパターン、ドラマや映画では観たことがあるが、小説では覚えがない。でも「赤い指」っていうのはそういう話だ。トリックそのものではなく、トリックを見破るプロセスとか発想にフォーカスするわけね。
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/12
- メディア: 文庫
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親と子の関係にまつわる機微、みたいなものがテーマなのだろうけど、どうも前記のような息苦しさが強すぎて、いやぁええ話ですね、と言う気にはなれない。ま別にそんなこと言わなくて良いのだろうけど。そんなこと言いながらも一気読みですよ。
タイトルの「赤い指」にもちゃんと意味がある、というかこの物語のキーになっている。東野圭吾さん、上手いですな。なるほど大人気なのもよくわかる。あと2冊ほど借りているので、ほとぼりが冷めたら(何の?)また読むとしよう。