野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

歌舞伎町の必殺シリーズ

いわゆる悪所というのは、アジールでもある。聖域であり、避難所であり、統治権力の及ばない、独自の秩序を持った特殊な場所である。だから、そこを舞台にした物語ができる。新宿歌舞伎町というのは、その最たるものなんじゃないだろうか。

タイトルにその名を冠した「歌舞伎町セブン」もそのひとつ。「ジウ」の続編ということになっている。「ジウ」で「新世界秩序」による占拠事件があったことに触れられている以外に、どの辺が?と思って油断していると、東警部補が登場する。そして「ミサキ」が登場する。いやいや「ミサキ」なんて言ってるけどアンタ基子だろ、とちょっとニヤッとする。話としては必殺仕置人の出来損ないっぽくもあるけど、それぞれのキャラクター造形が魅力的で、楽しめる。ほぼ主役と言っても良い小川の、ダメ警官ぶりもイイ感じだ。
それにしても、「ジウ」の東係長ってあんなキャラだったかな?ここまでに彼にいったい何があったのか。これはやはり「国境事変」と「ハング」を読まねばなりますまい。
といわけで、ところどころに誉田哲也氏らしいグロさがありながらも、かなり楽しめましたです。