野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

七尾かコナンかマクレーンか

グラスホッパー」を読んだら、ただちに続編の「マリアビートル」を読むわけだ。

グラスホッパー」の登場人物も出てきて、これまた殺し屋たちのバトルロワイヤル。といっても殺伐としつつどこかとぼけている。東北新幹線に乗り込んできた、とことん運の悪い七尾、文学好きできっちりした仕事の「蜜柑」ときかんしゃトーマスをこよなく愛し大ざっぱな「檸檬」の二人組の殺し屋。サイコパス中学生の王子。その王子を殺すつもりでやってきたアル中の木村。いったいどれだけの殺し屋が東北新幹線に集まってくるのか。読んでいくうちに、殺し屋たち以外も含めて、マトモなやつなど一人もいない、ということがわかってくる。檸檬の壊れたキャラクターが面白いけど、読んでるとだんだんこっちも現実感覚がおかしくなってくる。そして七尾の徹底した運の無さが清々しい。
グラスホッパー」の倍以上のボリュームで、さすがに一気読みというわけにはいかないが、つい没頭してしまう。色んな伏線、いや伏線とも思わなかったものまで含めて、すべてがキレイに回収されていくのがまた気持ち良い。これまた傑作です。