「カウフマン、生命と宇宙を語る」を読んで衝撃を受け、「自己組織化と進化の論理」にさかのぼり、その関係の諸々を読み漁ったのだがAmazonのウィッシュリストにストロガッツの「SYNC」を入れたきりそのまま放置… というのがかれこれ10年近く前のことになる。
書店で「非線形科学」なんていうタイトルの新書を見かけておおっ!と思い、一瞬迷いながらも結局手に取ってしまった。それぐらいに、この非線形科学とかカオスとか複雑系とか自己組織化というのは、解説本を読んでも理解できないくせにわたくしを魅了してやまないお題なのですな。
- 作者: 蔵本由紀
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: 新書
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まあそれはそれとして、この関係の話はやはり難しい。相当に気を遣って、可能な限り数式は使わず、極力わかりやすく平易に、という努力はものすごく感じられるけど。
でもやっぱり難しいよねぇ。わたくしの場合は以前に関連書籍をいくつか読んでいるので、「ああ、あの話ね」ってなんとなくはわかる部分もけっこうあるのだけど、「非線形科学って?」という人がいきなりこんな話をカマされたら、けっこうキツいものがあるんでないかなぁ。
それぐらい難しくて、なんだかよくわからんけど、でも面白い。「さまざまな実体が一つの述語的普遍性によって互いにつながること、これはまさに非線形科学がカオスやフラクタルという概念を通じて、モノ的にはまったく異質なものを急接近させるという構造に酷似しています」(p.247)というのが、まさにその魅力を語っている気がするな。「現象横断的な不変構造」を見出すこと、つまり、化学反応、気象、経済、相転移といった、いっけん関係のなさそうなものどうしの中にある種の相同性が見つかるという、ダイナミズムみたいなものがとてもスリリングなのですな。
これの続編もあるようなので、いずれまた。