野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

鳴宮て誰やねん

WOWOWドラマWで「MOZU」シーズン2をやってるからというので、慌てて原作の「百舌」シリーズに手を出し、「百舌の叫ぶ夜」に続けて第2作の「幻の翼」まで読んでみた。

いや実におぞましい話だが、面白い。少しばかりドラマを観てしまったがためにビジュアルが固定されるのが少しばかり残念であるけれども、それもまた一興であろう。本作の執筆中に、これとよく似た現実の事件があったとのことで、何の話か気になる。
このシリーズ、書かれたのは実はけっこう古くて1980年代後半ぐらいから始まっている(「百舌の叫ぶ夜」は久しぶりに阪神タイガースが優勝した年の話だったり)。その割にはあまり古さを感じさせないな、と1作目の「百舌の叫ぶ夜」では思っていたが、今回はどことなく、時代を感じさせる。もっとも、1作目でも、テレビで中森明菜が歌っている、などという記述があり、一瞬えっと思ったが、ああそうだ実は古い話なのだこれは、と納得することもあったわけだが。
それにしてもドラマの内容が、あまりに原作と違いすぎないか。倉木はタバコ吸わない、とか爆死した嫁は公安と違うぞ、とかはもう細かい話で、グラーク・アルファ作戦とかダルマとか、まったく原作にないエピソードが出てくるし、どうやら倉木はアル中にしたて上げられて精神病院にぶち込まれ、ロボトミー手術を施されるのではなく、単に指名手配されるだけみたいだし。暴力団の豊明興業も稜徳会病院も出てこず、かわりにアテナセキュリティなんていう会社が出てくるし、だいたいロシアのスパイのイワン・タイラーって何よ?
まあ、ちょっと似たところのある別の話、としてドラマを観れば良いのだろうけど、あそこまで原作を無視するのも何だかね。
いずれにしても、百舌シリーズ、なかなかのものでございました。まだ続編はあるけど、ちょっと休憩してから。