チャーチルにすっかりやられてしまい、ちょいと軽いものでも、と書店へ行くと三浦しをんの「木暮荘物語」なんてのが文庫になっている。おお久しぶりにしおんいってみるか、というわけで。
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2014/10/10
- メディア: 文庫
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登場するのはみんな、どこかが極端にズレていたり何かがぽっこりと欠落していたり。
テーマはたぶん、セクシュアリテとは、エロスとは、母性とは何か?そういうラディカルな問いかけなのだろう。けっこう難しいのだ。こういう、直接取り扱うのが難しいものについて考えるときは、とにかく極端に振ってみたり、「そうでないもの」について考えてみる。そういうことなんだと思う。
そういえば。
手塚治虫は、「人間とは何か」「死とは何か」という難しいテーマを扱うために、直接それらを描かなかった。「人間とは何か」に対してロボットを登場させ、「死とは何か」そう言えば、「死とは何か」問うために、を考えるために不老不死の人間を出してくる。
てな話をどこかで読んだことがある。
だから、生殖能力のほとんど無くなった木暮老人や、子どもを産むことのできない光子が登場するわけだ。なるほど。
そう考えると重いテーマなのに、あくまでリーダビリティは高く、エンターテインメント性もしっかり。三浦しをん、恐るべし。