野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

ガンテツのだいぼうけん

姫川シリーズはもういいや、と言いながらも、ついつい読んでしまう。というわけで「感染遊戯」。

 

感染遊戯 (光文社文庫)

感染遊戯 (光文社文庫)

 

 

でもこれ、主役は捜査一課の「ガンテツ」こと勝俣健作。これがまたとてつもなく下品なおっさんで、リアルにいたら鬱陶しいことこの上ないと思うのだけど、この小説の中では、実にイイ感じなのだな。この本は連作小説集の体裁を取っていて、ガンテツ以外にも、他の姫川シリーズに出てきた、元姫川班の「ノリ」葉山とか「シンメトリー」の倉田とかが主役になる話もある。一見バラバラな話だと思っていたのが、実はみんなつながっていて… という、まあよくあると言えばよくあるが、でもよくできた話だ。

殺人の動機はみんな、法で裁かれなかった官僚の不正に対して制裁を加える、みたいなことで、何気に社会派っぽい。というかフィクションと言いながらも作中で糾弾されているいろんな事件やら不祥事って、みんな実際にあったことだもんな。外務省についてはマサルちゃんも糾弾してたけど、やっぱりヒドいんだなこりゃ。全体にハードでシリアスなトーンの中に、時々とぼけたシーンやセリフがあって笑わせるというのも、いつものやり方だけど、これがまた絶妙なんですな。
姫川がちょっとしか出てこない、っていうのもなかなか良い。彼女あんまりたくさん出てくると、ちょっとウザいのよね。