野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

本屋襲撃とボブディラン

一見したところ突飛で、意味不明としか思えないことにも、実はそれなりの理由がある。まったく意味不明でばらばらなお話のフラグメントを集めて、しかるべき順番で組み立てると、そこに別次元の奇想天外な物語が現れる。
アヒルと鴨のコインロッカー」を読むと、そんな感じだ。

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

大学に入学したばかりの「僕」椎名はなぜかアパートの隣に住む河崎という男に誘われて、本屋の襲撃に加担させられる羽目になるし、ペットショップで働く「わたし」は何故かペット殺しの犯人たちに狙われる。なんだかみんな不条理で無茶苦茶な話しだし、河崎も謎のブータン人ドルジもペットショップ店主の麗子さんも、妙な連中ばかりだ。ただ妙な連中ばかりであるままで、ストーリーはかちかちとピースがはまっていって驚愕のラストにつながる。いや実に、参りました、な一冊。