「ケンカの流儀」なんていうタイトルで、表紙にはめっちゃ険しい顔の写真を載せたりして。いったい何がしたいのマサルちゃん。今度はそんなネタで本書いたの?!
などと言いたくなる。この人はとにかく、ものすごい量の著作があり、そのテーマは多岐にわたっている。なかには妙に下世話なものもあったりして、もうちょっと仕事選びなさいよマサルちゃん、とオネエ言葉でたしなめたくなるわけだが。
この本の前に「修羅場の極意」というのがある。続編ですな。様々な修羅場に、どう対処していくべきか。それを、各種の書物や人物の言動に学ぶ、てな内容なのだけど、それが「
吾輩は猫である」だったり「
かもめのジョナサン」だったり
ヘーゲルだったり
池田大作だったりするのは、なかなか斬新だが、一方で
プーチン・ロシアや
イスラム国が出てきたりするのは、まあいかにも、というところ。もちろん、ご自身が経験した、
ソ連崩壊と
鈴木宗男事件への
連座も含めて。
実はこの人の著作というのは、コンテンツはそんなにバリエーションがあるわけではないが、テーマとメッセージを多種多様に変えることによって、とてつもないバリエーションの著作が出来上がっているのだと思う。つまり、同じネタに対する料理方法のバリエーションが豊富であると。
ソ連崩壊、というネタひとつで、国際政治、外交、インテリジェンスの
技法はもちろん、神学、
ロシア文学、
マルクス、官僚の生態、そして修羅場の切り抜け方、てなことまで語るわけだ。このあたり、「知の怪物」と呼ばれる所以でございましょう。