野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

どれだけ寒くてもやっぱりおビールざます

わたくしの敬愛してやまない北大路公子先生の新作が出たので、何の迷いもなく買って読む。

石の裏にも三年 キミコのダンゴ虫的日常 (集英社文庫)

石の裏にも三年 キミコのダンゴ虫的日常 (集英社文庫)

 
「石の裏にも三年」。秀逸なタイトルである。雪と酒と妄想にまみれたダンゴ虫的日常を綴った、何の役にも立たない日記である。この「何の役にも立たない」というのがまさに、この本の価値だ。
酒とテレビをこよなく愛し、冬を憎み、泣きながら雪かき。佐藤浩市が隣に越してくる日を夢見ながら、自分が独裁者になった日のためのマニフェストを考え、担当編集者から締め切りを過ぎた原稿の催促を受け、時々仕事する。だから何なの、という話ばかり。しかしアレだな、「枕もとに靴」の頃からすると、ケメ子先生もやはり歳をとったな、という記述が随所に見られ、なんとも感慨深いものがあるなぁ。