野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

二度目なら少しは上手に伝えたい

イニシエーション・ラブ」の続編、という位置づけであるらしい「セカンド・ラブ」。

セカンド・ラブ (文春文庫)

セカンド・ラブ (文春文庫)

 
前作では確かに度肝を抜かれたが、本作ではその辺りを警戒しながら読んだので、ラストのしてやられた感はさほど大きくない。前作では最後の2行で一気に物語世界をひっくり返したが、今回は延々と数ページにわたって二人の登場人物にトリックを語らせることによって謎解きをしているため、どうしても斬れ味が悪くなっている感は否めない。前作のラストは、すぐに理解できれば衝撃的でキレも良いのだけど、一方では「は?だから何なの?」となった読者も少なからずいるようで、今回はそのような事態を避けるために、キレの良さを多少犠牲にしてでも分かりやすさを取った、ということか。それでも十分に楽しめたけど、やはり前作が強烈だっただけに、ちょっと物足りない感じがする。
登場人物の名前である「半井美奈子」が、実は本のタイトルになっているあの曲を歌っていた歌手の名前のアナグラムになっているなんていう仕込みなんかは、相変わらず芸が細かいなと感心するけど。
まあ色々と難しいもんですなぁ。