『日本の大問題「10年後」を考える』とはまた大きく出たな、という感じだが、お題は医療保険制度（堤未果）とかナショナリズム（大澤真幸）とか反知性主義（佐藤優）とか介護（上野千鶴子）とか、確かに大問題ばかりであるのは間違いない。そしてなんだか今回は特に、講師陣が豪華な気がする。中でも、どうも最近われわれは愚民化してるんじゃなかろうかというモヤモヤ感とその周辺の問題に関して、「感情の劣化」というキーワードで斬れ味よく解説してくれている宮台真司さんのパートが圧巻だった。そして、ネトウヨをはじめとして、なんだかロクでもない連中ばかりが目立つようになった、と思ったら、実は一方でクローズドな、「見えないコミュニティ」が生まれてきているという指摘は、ちょっとばかし衝撃的だ。
現在から振り返って10年前のことを思うと、いろいろ愕然とするようなこともある。なのに今から10年後のことなんて… そんなのわかるわけがない。でも、そうやって思考停止したらダメなのね、きっと。
