野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

タダほど高いものは…

あのロングテールの人って誰だっけ?マーク・アンドリーセン?違う、それはネットスケープのあのヒトだ。あ、クレイトン・クリステンセン?いやそれはジレンマのヒト。…そうか、クリス・アンダーソンだ。
と、なぜかこの人の名前は簡単には思い出せないのだけど、まあそんなどうでも良いことは置いといて、今さらながら「フリー」を読んでみた。

フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略

フリー ―<無料>からお金を生みだす新戦略


先日読んだ「予想通りに不合理」に書かれていたように、フリー=無料、の破壊力というのは相当なものがある。つまり、人の正常な判断力を麻痺させ、合理的な行動を取れなくする効果がある。20世紀後半あたりの資本主義社会において、マーケティング担当者はいろんなところでこの「無料」カードを切り、それは時に失敗したり、あるいは大成功を収めたりしてきた。21世紀に入ってからというもの、この「無料」にまつわる事情は、大きく変わってきた。常識的に考えると、そんなの無料にしても良いの?という製品やサービスをどんどん無料にしながらもきっちり稼いでいる企業もあれば、その一方で存亡の危機に立たされる企業もある。ひと昔前には考えられなかったものが無料になる背景には、テクノロジーの進化がある。いわゆる「ムーアの法則」が成り立つ世界、つまりストレージ容量、プロセッサの処理速度、通信の帯域幅、それらがかかわるものについては、あるポイントから先は限界費用がほぼゼロになり、「無料」でも商売が成り立つようになってくる。あるリソースが極度に潤沢になると、それを「浪費」することが可能になり、従来と根本的に異なる発想をしなければならなくなる。量の極端な変化は、質をも変化させてしまう。「過剰」が「破壊」を引き起こすわけだな。
あるモノやサービスが無料になると、価値はひとつ高次のレイヤーに移動する。
なるほど、「無料」というのは奥が深い。