野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

若くなくても良いそうですよ

昨夜(というか今朝)タコマ空港に着いたのは午前2時過ぎ。パーキングのレシートを見たら出庫時間は2:33amになっていた。で結局ホテルにたどり着いたのが3時過ぎ。それからビール一杯飲んだりして、何やかんやで寝たのはもう4時半を回っていたかと思う。
で8時半過ぎに起きた。4時間ほどの睡眠だったが、意外とすっきり。
さてそんな出張だったので待ち時間は腐るほどあり、まあボリュームの大きくない本なら一冊ぐらいは読めてしまうわけだ。
てことで、そのうち読むかなと思って先日Kindleに仕込んでおいた「若い読者のための短編小説案内」を読んでみた。


村上さんは1990年代に、日本文学の授業として「第三の新人」と呼ばれる作家の作品を読み込み議論する、というのをプリンストン大学とタフツ大学でやっている(「やがて哀しき外国語」に詳しいですね)。それと同じような内容を日本でやったというわけだ。
第三の新人」と呼ばれる作家で、ここで取り上げられているのは、吉行淳之介小島信夫安岡章太郎庄野潤三丸谷才一、そして長谷川四郎。わたくし日本の小説もそれなりに読んできたつもりでいるが、取り上げられている短編小説には、読んだことのあるものはおろか、聞いたことすらないものばかり。あえてマイナーな作品ばかりを選んでいる、とはいうものの、それでも他の作品なら読んだことがあるのが吉行淳之介だけだ。恥ずかしながらここで初めて名前を知った作家も。なんとまあ。
各作品の読み解き方は、なるほどプロの作家というのは、こういう風にテクストを読み、感じ、評価するのだなというのが垣間見られ、さらに、そこに村上さん独特の表現も加わってなかなか面白い。でもやっぱり、自分でも読んだことのある小説だともっと面白いだろうにな、と思うとどうにも残念だ。
いくつかの作品を読んでみてから、あらためてこの本を読んでみるといいんじゃないかな、ということで、いずれまた。