野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

これでも甘さひかえめなんやでしかし

空飛ぶ広報室」が文庫化されている。しかもこれはKindle版がない。では紙の本を購入せねば。
ということでこれも先月の日本出張時に入手した一冊。

空飛ぶ広報室 (幻冬舎文庫)

空飛ぶ広報室 (幻冬舎文庫)

おなじみ有川浩自衛隊モノだ。自衛隊に広報があるなんてことは、わたくし「ラブコメ今昔」を読むまでは知らなかったわけでございまして。
不慮の事故でP免になった元パイロットが主役、てP免て何よ(まあ前後の文脈からわかるけど)。文中にもF転とかいきなり出てくるし。とここまで書いて、今になって気づいたが、どうやら最初の4ページ(第1章が始まるより前)を読み落としていたようだ。あいやー。こいつは迂闊だった。
えーまあとにかく有川作品の例に漏れず、このパイロットを罷免され広報官になったという主役の空井というのがまた、ちょいヘタレな感じで。そこに美人なんだけどもなかなか気の強いおねーちゃんがテレビ局のディレクターとして絡んでくる、そこにはあれこれ行き違いがあって、というようなお話で。ただし解説によれば「有川作品にしてはやや糖度低め」とのこと。ええ、そう思いますね。ていうか糖度低めとはまた上手いこと言うな、と思ったらこの解説を書いたのは、作品中にも出てくる「詐欺師」こと鷺坂広報室長、のモデルになった実在の自衛隊幹部だ。この鷺坂室長っていうのがまた、アイドル好きのミーハーでユルい感じのおっさん、でも抜群の決断力と突破力でやるときはやる、というなかなか魅力的なキャラクターで。というかその他の広報室の面々もまた、実にこういかにも有川作品に登場しそうな感じで。
いやもうね、ほんと有川さんの自衛隊に対する愛をひしひしと感じますですね。これまた500ページの超大作だけどもほぼ一気読みでございました。