野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

あなたと脳と音楽と

だいぶ前(一年ぐらい前?)に書店で見つけて、買おうかどうしようかずっと迷っていた「音楽嗜好症」。やっと決心してKindleでダウンロード購入したのが2月の終わりごろ。そこからしばらくデジタル積ん読状態で、着手してからもなかなか身が入らず、少し読んではまた他のものに手を出し、てな感じで何ヶ月もかけてやっと読み終わった。

音楽嗜好症(ミュージコフィリア) (ハヤカワ文庫NF)

音楽嗜好症(ミュージコフィリア) (ハヤカワ文庫NF)

頭の中で、ある曲のフレーズが一日中繰り返し流れ続ける、なんていうのは割とよくあることだ。そんな話から始まって、音楽に関するちょっと普通でない症例が次から次へと語られる。それまで愛好していた音楽が、ある日突然まったく魅力を感じられなくなる。逆に、まったく興味を持てなかった音楽に対して異常な偏愛ぶりを示すようになる。それまで普通の人だったのが、とあるきっかけにより音楽に関する並外れた能力を発揮するようになる。これらの多くは何かの事故、あるいは病気によって引き起こされる。また、通常の言語能力が失われているのに、音楽に関してだけは正常に反応するとか。音楽を聴いて心地よく(あるいは不快に)感じられる仕組み、また、音楽を演奏するための様々な能力・技術に関しては、脳科学や神経学の知見をもってしても、よくわからないことの方が多いようだ。もともと音楽っていうのは、神との交信というような意味合いもあるしね。普段いちいちそんなことを考えたりはしないけど、音楽を聴いたり演奏したりっていうのは、実はとても奥の深い営みなのでございますね。ということがわかりましたけど、この本はなんだか読み通すのにずいぶん苦労したなあ。