日曜日の午後、家に引きこもって伊坂幸太郎の「砂漠」を一気読みした。
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/06/29
- メディア: 文庫
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東西南北が名前に入っている4人と、方角を持たない鳥山。あ、なんだか「色彩を持たない田崎つぐる」みたい。男女の構成も同じだし。もちろん話は全然違うのだけど。
この小説の面白さは、西嶋の存在感によるところが大きいんじゃないだろうか。とにかく暑苦しい男。醒めた眼で鳥瞰する北村と対極にいる。デタッチメント北村に対してアンガジュマン西嶋。ラモーンズとクラッシュを愛聴する、怒れる若者。世界を救うために、麻雀では平和(ピンフ)の役で上がることに固執する。だから、ものすごく弱い。場所と状況をわきまえないし、とにかく面倒臭いことこの上ないのだけど、「その気になれば砂漠に雪を降らせることだってできる」と本気で信じている。格好悪いけど、堂々としている。西嶋は怯まない。西嶋には、涯がない。
「同じクラスに東西南北を名字に持つ人間が集まっていたんですよ。これにね、何か意味がなければおかしいじゃないですか。無視できないですよ」と西嶋は言って、北村と東堂と南を誘い、鳥井の家で麻雀をした。それ以来、しょっちゅう麻雀をしている。わたくし麻雀を知らなくて、よくわからない部分も多々あるので、そのあたりのシーンはちょっとどうも。
なんてことは、まるでない。
十分に楽しめる。伊坂作品に特有の、ちょっととぼけて、でもヒネリの効いた会話がやっぱり面白い。
そんなわけで、久しぶりにのめり込んで本を読みましたですね。