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野生のペタシ (Le pédant sauvage)

Formerly known as 「崩壊する新建築」@はてなダイアリー

方角を持たない鳥井と、彼の受難の年

日曜日の午後、家に引きこもって伊坂幸太郎の「砂漠」を一気読みした。

砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

主人公の僕・北村、そして同じ大学の同級生である南、東堂、西嶋、鳥山の5人による4年間、麻雀やったりボウリングやったりホストと揉めたり空き巣の現場に出くわしたり保健所に処分されそうになったシェパードを救ったり。
東西南北が名前に入っている4人と、方角を持たない鳥山。あ、なんだか「色彩を持たない田崎つぐる」みたい。男女の構成も同じだし。もちろん話は全然違うのだけど。
この小説の面白さは、西嶋の存在感によるところが大きいんじゃないだろうか。とにかく暑苦しい男。醒めた眼で鳥瞰する北村と対極にいる。デタッチメント北村に対してアンガジュマン西嶋。ラモーンズとクラッシュを愛聴する、怒れる若者。世界を救うために、麻雀では平和(ピンフ)の役で上がることに固執する。だから、ものすごく弱い。場所と状況をわきまえないし、とにかく面倒臭いことこの上ないのだけど、「その気になれば砂漠に雪を降らせることだってできる」と本気で信じている。格好悪いけど、堂々としている。西嶋は怯まない。西嶋には、涯がない。
「同じクラスに東西南北を名字に持つ人間が集まっていたんですよ。これにね、何か意味がなければおかしいじゃないですか。無視できないですよ」と西嶋は言って、北村と東堂と南を誘い、鳥井の家で麻雀をした。それ以来、しょっちゅう麻雀をしている。わたくし麻雀を知らなくて、よくわからない部分も多々あるので、そのあたりのシーンはちょっとどうも。
なんてことは、まるでない。
十分に楽しめる。伊坂作品に特有の、ちょっととぼけて、でもヒネリの効いた会話がやっぱり面白い。
そんなわけで、久しぶりにのめり込んで本を読みましたですね。