『神去なあなあ日常』の続編、『神去なあなあ夜話』が文庫になりましたね。幸いにしてKindle版も出ている。ということで早速ポチりと。
- 作者: 三浦しをん
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2016/06/03
- メディア: Kindle版
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前作と違うのは、林業見習いも一年が経過してそれなりに慣れても来て、ちょっとばかし余裕が出てきているというところか。仕事もだんだんに面白くなってきて、林業の魅力について勇気くんもあれこれ語るわけですな。実際のところ林業って具体的にどんな仕事なのか知らないわけで、こうやって語られると、ほーなるほどなかなか面白そうじゃないか、と思ってしまうのだ。んなもん本当はめちゃくちゃキツいんだろうけど。
ちょっと余裕が出てくると、山で見聞きするもの、感じるものもまた違ってくる。それが物語にも反映され、昔からの神去村の言い伝え、伝説、神話などもあれこれ出てくるのだが、それがまたどこかちょっとトボけている。細部が雑というか、まさに「なあなあ」なわけだが、いや待て神話というのはもともとそんなもの、のはずなんだよな。大きな構造は世界中共通だが、その要素は交換可能で細部はグダグダ、と。さらに考えてみたら、この物語自体が、若者が旅に出て神話の話型を取っているじゃないか(未完だけど)。ということは、今後もさらに続編が出てくることが予想されるこのシリーズで、若者は旅に出て美しい女性も登場したということは、いよいよ次回作あたりで「父親殺し」か。
「神去なあなあ」シリーズにおいて、勇気にとっての父親のメタファーとは何か。続編が出るまでには考えておかなければいけない宿題だ。